10月24日、金曜日の晩、@sohoplace theatreで見ました。
作はDuncan Macmillan、初演は2013年で、世界80か国以上で上演されてきたのがロンドンに来た。演出はJeremy HerrinとDuncan Macmillanの共同。
ひとり芝居で、Lenny Henry, Jonny Donahoe, Ambika Mod, Sue Perkins, Minnie Driverらの各俳優の舞台が、この順番で8月から各4週間くらいかけて交替しながら上演されてきた。自分が見たのはMinnie Driverの。休憩なしの85分。
四方を囲むかたちのシアターに入ると、開演前なのにMinnie Driverさんがいて、ひとりで客席をあちこち移動しながらそこにいた観客に向かって個別に何か説明して紙を渡していて、紙には番号と、名詞だったり長めの台詞だったりが書かれていて、舞台で彼女が番号を言うと、その番号の紙を持っているひとはそこに書かれていることを聞こえるように読みあげてね、という指示をしている。端から全員に渡しているのではなくて、客席全体に満遍なく渡しているような。 番号は1番から1000000番くらいまで、連番ではなく、ランダムで、呼ぶ順番も規則も特にないようで、教室で先生に突然あてられるのを思いだしたりする。そういう客席とのインターアクションも含めて、アドリブの要素、それに瞬時に対応する機転も求められるんだろうし、大変そうかも。
メインの筋書きは、彼女が7歳の時、母親が「バカなこと」 - 自殺未遂をしてそれ以降何度か病院に運ばれて、彼女はお母さんが少しでも幸せになれるように、自分にとってBrilliantなことをリストアップして、それを母親の枕元に置いておくようになる(母は読んでくれていたらしい)。それらは母親が亡くなったあとも、人生の節目節目でいつもどこかで湧いてきて振り返ったり復唱したりすると元気になって支えてくれたり – なぜってそれらはぜったいBrilliantなものだったし、今もそうだから – というシンプルなものなのだが、これをどうやって脚本にして役者のひとり舞台に仕あげていったのか。
リストは1.がアイスクリーム!とか、他愛ないものも多いのだが、これらのリストは(月替わりの)演者によっても違うみたいだし、単に並べていくだけではなく、それにまつわる思い出とかもくっついてあるし、過去の再現場面 - 父親との会話とか初デートとか - では、何人かの客をステージにあげて即興で芝居をして貰ったりする。事前に言ってあったのだろうけど、彼らとのやり取りもすばらしく、特に靴下を脱いで手に嵌めてジョークを言うように指示されたおばあさんなんて、あなた本当に素人? になるくらいすごかった。
で、そんなふうにいろんなThingsに埋もれていっぱいになっていきつつ、最後にはCurtis Mayfieldの”Move On Up”と共にぶちあがる姿はとても感動的で、一番のBrilliant Thingはあなたでしょ、になるの。付箋だらけの本がかけがえのない一冊になったとき、そのかけがえのなさを抱きしめるあなたこそが。
だからね、床に積まれた本だって、ほら。(何がほら、だ)
Lessons on Revolution
10月25日、土曜日の晩、Barbican内の小劇場 The Pitで見ました。
4日間公演の最終日。 自由席、60分強で休憩なし。
殺風景なオフィスのような舞台には机と、その上にOHPがひとつ。背後にプロジェクションする白幕、あとはキャプションを流すディスプレイがふたつ。
2024年のEdinburgh Fringeで好評を博したらしいDocumentary Theatre(というの?)。Gabriele UbodiとSamuel Reesのふたりが書いて演じる。パフォーマンスというよりレクチャーみたいな要素もある。これも何人かの観客に紙を渡して読みあげて貰ったり、インターラクティヴに進められていったり(読んでくれた人にはお茶がふるまわれる)。
1968年、London School of Economics(LSE)を3000人の学生が占拠し、学長の辞任とアパルトヘイトの撤廃を要求した。それについて語る現代のふたりはCamdenのBTタワーが見えるフラットで一緒に暮らしながら、LSEのアーカイブに行って、なにがどうしてどうなったのか、当時の資料を掘り続ける。そうやって発見された紙切れやドキュメントをプロジェクションしながら、話は1920年代にイギリスの植民地となったローデシアから、当時世界中を吹き荒れた学生運動の嵐まで、地理と歴史を縦横に跨いで繋いで、LSEの学生運動で絶望して亡くなった学生、最後まで辞めずにナイトの称号まで貰いやがった学長、さらに家賃の値上がりでやってらんなくなっている現代の彼らまでを軽やかに結んでいく。
こんなふうにすべては繋がっている。意図的に繋げる、というよりはっきりと繋げることができて、そこには無意味なことなんてひとつもなかったし、これらの連鎖を学んでいくことって決して無駄なことではないんだから、というLessons on Revolution。
とてもおもしろくてあっという間の1時間だったのだが、敵の方もこれと同じように、改竄された歴史に基づくストーリーを紡いで、世界征服の夢を性懲りもなく膨らませているはずなので – 日本の新しい政局とかみると特に - ほんとやってらんないわくそったれ、になるのだった。
10.30.2025
[theatre] Every Brilliant Thing
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