10月12日、日曜日の昼、BFI SouthbankでのLFFのScreen Talk。 
映画祭なのでいろんなゲストが来てトークをする - 今年だとJafar PanahiとかRichard LinklaterとかYorgos LanthimosとかDaniel Day-Lewisとか - のだが、今回見てみたいと思ったのはこの人とTessa Thompsonくらい。 Lynne Ramsayは数年前に話を聞いたことあったし。 でもチケットはぜんぜん取れなくて、しょうがないので日曜の朝に並んだ。
LFFは、昨年もその前からもそうなのだが、チケット発売日にはぜんぜん取れなくて(今年はオンラインのキュー待ちで1時間半)、これだから映画祭って嫌だ、って悪態ついてるのに、始まってこういうのに並んだりしているうちにやっぱりあれも行った方がいいこれも見たいかも、になって結果キャンセル待ちに並んだり、ものすごく無駄な時間を費やしてしまう… のってやはり「お祭り」だからだろうか? (でも東京のでここまでのを感じたことはない)
あと、連日世界中から来たものすごい数のいろんな新作を上映しているのだが、こういうのを追っかける状態から自分の人生を変えてくれるような作品と出会うのってほぼ不可能だよね、って思う。べつにいいけど。
この映画祭では新作の”Hamnet” (2025)が上映されたばかりで、そりゃ見たかったけどチケットぜんぜん取れなかったのでしょうがない(最終日 - 昨日の追加上映も1時間半並んで、結局だめだった)。トークの時点ではまだ見れていない人も多いので、舞台となった本国(原作はMaggie O'Farrell)で上映できてうれしい、くらいにとどめて、過去の監督作からお気に入りのシーンを切り取ってコメントしていく、という構成。
最初は”Songs My Brothers Taught Me” (2015)の教室の、生徒たちの机にいろんな動物たちが湧いてくるシーン。
それから”The Rider” (2017) の仲間とレスリングをして本気になってしまっておいおい、になるシーン。
そして”Nomadland” (2020)からは、Frances McDormandが野宿している若者のところにサンドイッチを持っていってシェイクスピアを誦じるシーン。
“Externals”からはExternalsたちがしょうもない人間どもをどうしようか、って議論しているシーン。
そして新作からもお気に入りだというシーンのクリップが流れて、それを見ると早く見たい、しかなくなる。
“The Rider”ではmasculinity(男らしさ)について、”Nomadland”ではageismについて語ることができるわけだが、”masculinity”については身震いするくらいめちゃくちゃ大好物で、解剖台の上に大切に乗っけて突っついて切り開いて、中を覗いたり、をやるのがたまらないのだ、と。(それなら日本には「九州男児」とかいう特別に強烈な亜種がいるよ、って御招待さしあげたい - ぜんぜん美しくないけど)。
物語やテーマの選び方については、あまり自分で掘って探究していくのではなく、ある程度まで進めた上で向こうからやってくる、やってくるのを待つ、という(多分に東洋的、とも取られそうな)言い方をして、映画を作っていく上での困難について聞かれると、自身のneurodivergenceについて触れ、誰がどこでどんなふうにつっかえて難しくなっているのかが人よりよく見えたり察知したりできるので、人より現場での解決や対応はしやすい、そういうのには強いのかもって。
子供の頃から漫画にどっぷり浸かってきて、映画は親が見ていた中国映画ばかり、初めて見た洋画は”The Terminator”(1984), 次が”Ghost” (1990), その次が”Sister Act” (1992)だったと。ウーピー大好きだって。
音楽については、新作のを担当しているからかMax Richterをベタ褒めしていて、彼の音楽だけでなく音楽に対する考え方にとても共感している、と。
テーマや題材や演技にものすごく強い拘りや信念を持って引っ張っていく、というより来たもの、あるものをとりあえず受けとめて一緒に可能性を探っていく、という柔軟なやり方(プロデューサーには苦労かけてごめん、って)について何度も強調していて、こういう人は強いなー、って思った。
10.21.2025
[film] Screen Talk: Chloé Zhao
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