10.13.2025

[film] Thelma & Louise (1991)

10月5日、日曜日の夕方、BFI Southbankの特集 - “Ridley Scott: Building Cinematic Worlds”で見ました。上映前に監督Ridley Scottのトークつき。

短編からMezzanineを使った企画展示から過去作品のclapperboard(カチンコ)を壁にずらりと並べた展示とか、BFIの売店では彼のサイン入り赤ワインの大きいボトル(£300)を売っていたり - なども含めた総括的な回顧で、この中で自分は”Boy and Bicycle” (1965) + “The Duellists” (1977)の二本立てとか”Someone to Watch Over Me” (1987)を見たくらい。

今や世界的な巨匠であることは確かなのだろうし、新作がリリースされたらふつうに見るのだが、昔から映画ファンだったわけではない(今だってそう)ので、”Alien” (1979)とか”Hannibal” (2001)とか、怖そうなのは見ていなくて、この”Thelma & Louise”も見ていなかった。トークの際に「見たことない人?」で手を挙げた1/3くらいに入っていて呆れられたが、公開当時は”Bonnie and Clyde”の女性版、という紹介のされ方(つまり最後は死んじゃうので悲しい)で、今みたいにフェミニズムやLGBTQ+文脈で語られることなんてなかったの(←言い訳になっていない)。

監督のトークは、よく話題になるメインの2人のキャスティングについて、既にいろんな名前があったりするが、今回はMeryl StreepとMichelle Pfeifferの名前が出て、他にはHans Zimmerのどうやって作ったのかわからん音楽の凄みとか、ロケはどこをどう切っても絵になるので楽しかった、とか、割とふつうで、翌日一部で話題になったらしいこの日の別枠のトークでの、「今の映画は殆どがクソ」発言も見ればわかるごりごりの頑固じじいぶりが素敵だった。

フィルムは今回の特集のために焼かれた35mmのニュープリント。最初の方のごちゃごちゃしてもうやだ! の鬱屈して湿った空気が後半に向かってどんどん晴れて風景と一緒に視界が広がっていく(彼女たちが広げていく)のが爽快なロードムービーで、男たちは全員が揃いも揃ってバカで腐ったろくでなしで、”The Blues Brothers (1980)のふたりは生き延びたのに彼女たちはなぜ死ななければならなかったのか、なぜあそこでLouise (Susan Sarandon)は、死のう!ってThelma (Geena Davis)に言ったのか、等について少し考える。

いまリメイクするとしたらメインのふたりは誰がよいかしら? とか(暇つぶし)。


Boy and Bicycle (1965)

9月4日、木曜日の晩に見ました。
27分の短編でRidley Scott自身がカメラを回して、弟のTony Scottが主演して、音楽はJohn Barryに格安でやってもらったデビュー作。地表の横線の置き方とかそこに向かって乗り物(ここでは自転車)が走っていく姿には既に彼の特徴が表れているように思ったが、それよりも彼のフィルモグラフィーが熊のぬいぐるみのアップから始まっている(エンディングも)ことはちゃんと記憶しておきたいかも。 ↑の週末にはこの二本立て上映に合わせた監督のトークもあったので、この辺、だれか質問したのかしら?

The Duellists (1977)


↑のに続けて見ました。邦題は『デュエリスト/決闘者』。
BFIアーカイブからの35mmのフィルム上映で、色味とか光のかんじも含めて70年代のヨーロッパ映画にしか見えない。原作はJoseph Conradの”The Duel” (1908)、19世紀初のフランスの、ナポレオン軍に従軍する二人の兵士 - Keith CarradineとHarvey Keitelによる30年に及ぶ決闘の歴史を描く。

ぜんぜんやられない懲りないねちっこいのに妙に爽やかに時間を超えて追っかけてくるHarvey Keitelがよい味で、ここは”Thelma & Louise”の彼の役にも引き継がれているような。

この最初の2本にあった軽妙な軽さがいつの頃からかどこかに行ってしまった気がして、それは何がそう見せているのか、ただの気のせいか、とか。

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