10月19日、日曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
LFF最終日のクロージング作品で、この上映の1時間前に隣のRoyal Festival HallではこれのレッドカーペットとGala上映が行われていた。隣なんだからちょっとだけこっちに来てくれたってよかったのに。
作・監督はJulia Jackman(2作目の長編作品)、原作はIsabel Greenbergによる同名グラフィックノベル(2016)。タイトルからスーパーヒーローものと思いこんでいたら、ぜんぜん違った。
シェヘラザードの『千夜一夜物語』と『侍女の物語』のミックス - 他にもいろいろありそう。全体としては90分のB級で、プロダクションの完成度みたいなところからすればがたがたの穴だらけなのだが、手作りの創意工夫に溢れた楽しい作品で、とてもよいと思った、というか大好き。
月が3つあるので地球ではないかもしれないどこかの星の中世みたいな時代に、Birdman (Richard E Grant)ていう見るからに陰険邪悪なじじいっぽい鳥の神が支配している世界があって、元は彼の娘のKiddo (Safia Oakley-Green)が理想郷として描いた男女平等の世界があったのだが、Birdmanが男女平等なんて我慢できない、ってじじいの癇癪をおこしてから女性は読み書きを、それを習うことも禁じられている。
そんな世界のお屋敷に暮らす貴婦人Cherry (Maika Monroe)とそのメイドで親友のHero (Emma Corrin)のお話し。 Cherryは表面は優しそうなJerome (Amir El-Masry)と結婚するのだが、彼はCherryを妊娠させることができず、というかベッドに誘うことすらできないままでいて、後継ぎを産めなければCherryは死刑にされてしまう。彼の親友で女たらしのManfred (Nicholas Galitzine)は自分がその気になれば大抵の女なんて、って豪語するので、じゃあ自分が出張に出ていなくなる100日の間にCherryを誘惑できるか賭けをしよう、って持ちかけて自分はさっさと出ていってしまう。
こうしてCherryとHeroの前に現れたManfredはぴっかぴかのナルシスティック(でバカな)な目線と身振り - 自分が倒したでっかい鹿を上半身裸血まみれで担いできたり – でふたりをドン引きさせるのだが、あの手この手を使ってなんとかCherryをベッドに連れこもうとして、懲りずにあらゆる手口を駆使してくる。これに対抗すべく立ち塞がったHeroは、彼女の祖先の代から伝わる女たちのストーリーを、読み書きの替わりとなる不思議な能力を駆使する三姉妹 – このうちのひとりがCharli XCXだったり - の伝説を語りながら、100の夜を乗り切ろうとする。そのかわしたりかわされたりの駆け引きの日々。
見るからに頭の足らなそうなManfredの誘惑をかわしきったところで、子供ができなければCherryは死刑にされてしまうので、どっちにしても、なのだが、Heroの語り続けるストーリーは彼女たちふたりの思いと絆をしっかりと固めていって… ラストに悲壮感はまったくないの。 ”Thelma & Louise” (1991)もあるかも。
衣装とか屋敷の装飾の艶やかだったりゴスだったりの手作り感がとても素敵で、そこに迫害と漂流を余儀なくされていった女性たちの儚くて終わらない夢と物語が重ねられていく。という辺りはとてもよいのだが、もう本当に辛いばかりだし、ここに出てくるバカな男どもをいい加減どうにかしてほしい。Emma Corrinが最後に連中をぼこぼこの皆殺しにしてくれると思ったのになー。この背景設定だったらそれをやってもぜんぜん映えたはず - と思ったりもしたのだが、バカな男たちと同じ土俵に立ってやりあってはいけないのだ、という強い意思もあるのだろうな、って。
10.28.2025
[film] 100 Nights of Hero (2025)
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