9月21日、日曜日の晩、King's Head Theatreで見ました。
原作は主演もしているMaia Novi、演出はMichael Breslin。NYのOff-Broadwayで上演されて評判になっていた舞台を持ってきたもの。スクリプトには”A True Story”とある。 休憩なしの約75分。
アルゼンチンからNYの演劇学校にやってきて女優を目指しているMaia (Maia Novi)がいて、パラマウント映画のオープニングのあの音楽を全身に浴びて、わたしはやれる!絶対にスターになる!って意気揚々で張りきっているのだが、気が付いたら病院のベッドに寝かされてて、ここはどこ? わたしは? になっている。
そんな彼女の周りにいろんな怪物とか変な人などが次々に現れて彼女を上げたり下げたり一緒にダンスしたり、全体としてはなにがなんでも有名になるんだ妄想に憑りつかれてしまった彼女に襲いかかる終わりのない悪夢を4人のパフォーマーがいろんな役 - 医師、病院の他の収容者、演劇学校の仲間、マイアミにいる母 - 等を代わる代わる演じたりして、そのうちのひとつがポスターになっているいろんなチューブを纏ったみど蚊みたいな虫だったり。
彼女はこんなInvasive Species(外来種)が媒介するなにかにやられてしまったのか、ひょっとして彼女自身が外来種だったりするのか、そもそもこれって病気とか害悪だったりするのか、でも今ってこんな人ふつうにいるじゃん? とか。
舞台はめまぐるしく、強いテンションで照明や音楽を変えながらMaiaが辿っていくジェットコースターのぐるぐる旅と敵のようにやってくる困難をノンストップで見せて – でも舞台は小さいただのフロアなので転換は工夫していて飽きることはない。 のだが、後半に向かうにつれて見る方も演じる方もちょっと疲れて内省的になってくるような – それはそれであって当然のことだとしても。
なのでそれらが飽和した状態でのあのラストはとてもよくわかるかんじだった。ちょっと凡庸かも、とは思ったが。
Cow | Deer
9月22日、月曜日の晩、Royal Court Theatre(の上のシアター)で見ました。
演劇というよりは音の実験パフォーマンスのような。ポスターは牛の顔左半分、鹿の顔右半分の合成写真で、動物好きなので見る。生きた彼らは出てこなかった。
演出Katie Mitchell, 台本Nina Segal, サウンドアーティストのMelanie Wilsonの3名 +National Theatre of Greeceの共同制作。休憩なしの約60分。
会場は暗くて、舞台のところは大きな作業机が3つ並んでいて、そこに草の俵のようなものとか土が積まれて盛られて、水槽もあって、奥にはブースもあって、鳥の声や水の音がしていて、机の前にはマイクロフォンが9本、刺さるように立っている。(撮影厳禁)
そこに黒い服を来た4人の奏者というべきなのかパフォーマーが現れて、牛と鹿のそれぞれの一日を音で描いていく。バックグラウンドで流れるField recordingで録った音の様子から、これは牛のそれ、これは鹿のあれ、はなんとなくわかる – それだけでもすごいが、スクリプトを読むと、結構細かく牛と鹿のそれぞれの動きが書かれていて、パフォーマーたちは、いろんな道具(濡れた布、布袋、石、木の枝、いろんな葉っぱ、じょうろ、スイカとか果物、砂とか砂利とか)を机の上の塊りの上で叩いたり鳴らしたり潰したり散らしたり指でくりぬいたりして音を出して、場面によってはそれらをミックスさせながら音のランドスケープとしか言いようのないものを見せてくれて、牛と鹿が最後にどうなってしまうのかもはっきりわかるし、とにかくこれらの音を通して牛の、鹿の一日 and/or 一生を。
あらかじめ録ってある音とライブで出す音の境界(の決め)ってなんなのだろう、とか、エレクトロニクス系のライブで机の上に箪笥シンセとか機材が積んであって演奏するのと違いがあるとしたら、とか。
日本には江戸家猫八っていうのがいて(自分がよく知るのは三代目だった)、彼がひとりいたらこれらの音はだいたい賄えてしまうのだけど、って少し思った(ちがうだろ)。
10.04.2025
[theatre] Invasive Species
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。