5.05.2012
[film] Glen or Glenda (1953)
3日の午後、"The Honeymoon Killers" (1970)に続けて見ました。
「史上最低の映画監督」としても名高いEdward D. Wood Jr.の最初の長編監督作で、服装倒錯者(ここでは女装したがる男性)を正面から堂々と擁護すべく、監督自身が(Daniel Davisという名前で)男性のGlenとその女装版であるGlendaを演じている。
ベラ・ルゴシ演じる科学者が服装倒錯という非自然(と自然)とその是非を、科学者というより神様目線で論じ、その下の現実世界で服装倒錯故に迫害されて自殺してしまった若者(彼の名前はPatrickというの)を題材に警部と大学の先生が服装倒錯のいろんなケースについて語り合うの。
そのひとつがGlenとGlendaのやつで、彼は性的にはヘテロで彼女との結婚を前に自身の性癖を告白すべきかどうか悩んでいて、これは先生を入れた3人のカウンセリングで解決する。 もうひとつのケースは身体的に両性を持ってしまっていたAlanとAnneのやつで、これは大変な手術をしてなんとかする。 これらは大学の先生が間に入ってたまたま救われたケースで。
映像としては悪魔みたいのが出てきたり結構無茶をしてめためたなのだが、基本トーンはほんとに真面目に真剣に「女装してなにがわるいんだ?!」という魂の叫びを世界に(世界に!)ぶちまけている。
だから映画は、Glen/GlendaとAlan/Anneのうまくいったケースはともかく、これらに当てはまらない世界中に何万といる迷える子羊たちをどうしたらよいのか? という問いかけで終ることになるの。
そうはいっても、53年にこんなことを、こんな映像で訴えてもどうにもならんことは作った側にも十分わかっていたのか/或いは、どうやって訴えたらよいのやら途方に暮れていたのか、映像は軽くてつぎはぎで半端で錯綜しててしょうもない。(←だからいろんなWorstに)
でもおもしろいよ。 稲妻の音がずっとごーごー響いていたり、バッファローが走っていったり。
で、映画のなかで死んでしまったPatrickくんの無念に応えるべく、おなじPatrickを名前にもつ彼の歌を聴きに恵比寿に向かったのだった。
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