5.05.2012

[film] The Honeymoon Killers (1970)

3日は、シネマヴェーラで2本みました。
このたびの天気には心の底から失望した。 あんたなんか、あんたなんか。

The Honeymoon Killers、つうたら70~80年代のベルギーのバンド(Crammed Discsね)か、Jon Spencerの副業バンドか、そんなもんかもしれないが、この映画のが先なの。

40年代に実在したカップルのほんとにあった事件をベースにしてて、このふたりは少なくとも12人の女性を殺したとされているのだが、映画に出てくるのはその一部だけ。

もっとジャンクで荒れてて救いようのない世界が広がっているかと思ったら、ぜんぜんそんなことなかった。 モノクロでシンプルで落ち着いてて、ちょっとだけ強い愛が描かれたすごく繊細な映画だった。 ガレージなんてとんでもない。 音楽はマーラーいっぽんだし。

厳格で真面目な病院の婦長さんのMarthaは、友達に進められて文通サークルに応募したら、結婚詐欺を生業にしているRayと知り合って恋に落ちてしまう。 彼の仕事がそんなんだということを知った後も彼から離れることはできなくて、彼の姉とか妹ていう役割で彼の縁談にくっついていく。
Rayの相手からお金を騙し取るまでは縁談を進めていくしかないのだが、時として嫉妬の炎が燃え上がり、それに応じて綻びが出て収拾がつかなくなり、うるさいなーというかんじで殺してしまう。

ぜんぜんぱっとしないまま真面目に生きてきた彼女がやくざなRayと出会って彼なしではいてもたってもいられなくなり、彼の方もうざいなあと思いつつそんな彼女が愛おしくなっていく。
ふたりの貧しくてしょぼい佇まいやしょうもないやりとりも含めて、ダウナーな恋愛のリアルがしっかり描かれていて、犯罪はその裏返しでしかない。 その裏返ってしまう、裏返らざるをえない苛立ちと切実さがこちらに刺さってくるの。

中盤の、思い詰めた彼女が海に入っていってトドみたいに溺れて、彼がたまんなくなって助けに行ってしまうとこ、それ以降、テンションはぐいぐいあがっていく。犯罪に向かうテンションではなくて、ふたりの関係が第三者によって壊されるか壊されないかていう、そういうー。
終わりのほう、ほぼ彼女のほうだけに寄っていくカメラ、そこにはもう彼女の暴走していく想いみたいのしか映っていない。

今これをリメイクするなら、MarthaはLena Dunhamさんにやってほしい。でも彼女最近きれいになっちゃったからなあ。 Rayのほうは、誰かなあ…

日本でやるなら、Marthaはマツコだろうね。

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