終ってしまいそうだったので、金曜日の晩に少し慌てて見にいった。 『ユベール・ロベール-時間の庭』。
ここ(国立西洋美術館)って、たまにこういう渋いやつやるよね。ちょっと前のヴィルヘルム・ハンマースホイ以来かも。
これはユベールさんとロベールさんのユニット、ではもちろんなくて、18世紀のフランスの風景画家なの。
イタリアでお勉強して廃墟とかの変な絵ばっかし描いて「廃墟のロベール」て呼ばれて、国王の庭園デザイナーまでやって、最後にフランス革命で投獄されちゃったの。
そんな彼の作品をいっぱい所蔵しているヴァランス美術館の改築にあわせてごっそり持ってきた、と。
廃墟好き、チョーク絵好き、奇想系の絵好き、庭園好き、は見に行って損はない。
赤チョーク(サンギーヌ、といいます)の絵もいかったが、フランスに戻ってきてから描きはじめたでっかい変てこな絵がなかなか楽しい。
最初はちゃんとイタリアの遺跡とか建物を写実していたのに、フランスに戻ってきたら描く対象があんまなくなっちゃったもんだから、自分で好きにやってみることにする。 雲を森を樹を水辺を石を廃墟を遺跡を、そしてなによりも光を好き勝手に配置してみる。 そうするとひとの彫像とナマのひとの区別とか、なんかどうでもよくなってくるのね。
廃墟という、かつては栄えていたのにもうその役を終えて死んで、あとは崩れていくのみの、そこでの時間が止まってしまったものを、自然物の、四季と共に移ろい変わっていくあれこれの真ん中に置いてみることで、デザインのコントラスト以上に面白いものが、人間の考えだした「時間」というもの - 「時間」て人間が作り出したもん - がだまし絵のように浮かびあがってくる。「時間の庭」というのはそういうのを言う。のかなあ。
本人はぜんぜんそんなこと考えて描いたわけではないじゃろうが。
あとは、絵の真ん中に廃墟とか遺跡とか、そびえ立つどーんとしたものを置くことで、遠景とか奥行きとか、パースペクティブもなんか微妙に歪んで変になっているように見えたの。 時間だけではなく空間にも変な操作が。光とか雲の描き方もそういうふうで。
造園なんてもともとそういうもんなのだろうけど。
でっかい絵のほんもんで見てみると、人とか結構稚拙なのがおかしい。
猿みたいに見えるひととか、牛のようにも豚のようにも見える(あれはたぶん)犬とか。
だから展覧会でじかにじーっと見たほうがよいです。
あと、洗濯女が多い。 洗濯女好き、だったのかしら。
5.19.2012
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