5日の土曜日に銀座で見ました。
4連休は、お天気のせいでぜんぜん動き回るかんじではなくて、1日1本がいいとこだった。
ロンドンのOdeonで9月に見てから2回目。 なんかちがうかなーと思って原作をもういっかいざーっと読み直したりしてた。
やっぱし原作のみっしりした砂時計の砂がちょろちょろ落ちていって、最後に落ちるとこに一気に落ちる、あの快感はなかった。
かつて一緒に働いていた仲間が割れて、ひとりは死に、ひとりは傷を負ってどこかに消えて、解雇されたひとりが味方ふたりくらいと一緒に昔の同僚の調査をはじめる。
チェスの駒として置かれたひとりひとりがスマイリーに対して向ける肩越しの冷たい目線、その厳しさと辛さがまずあるの。
冷戦時代のソ連、とくに宿敵カーラに対する憎悪は、それがなによりのモチベーションであるはずなのに、あからさまには出ないでスマイリーの無表情の奥に隠されたまま。 暖かく柔らかい色彩で繰り返し描かれる年末のパーティの場面(そこに幸福な時代がすべて詰まっている)と対比される冬の時代の過酷さ。
でも表情にはでない。 それが仕事だから、とも言わない。 とりあえず。
基本は男同士の愛憎、長い歳月のなか、互いのイデオロギーを超えて培われてきた強い強い愛憎が不可避的に壊れ、剥がされていくさまを描いている。 二重スパイ、70年代英国、というのはそういうのの添え物でしかない。
そのまんなかにはなにがあったんだろう、と思う。
国やイデオロギーに対する忠誠、手柄とか地位とか? そんな単純ではないことはわかるの。
まるで違うもんだけど、"The Social Network"(2010)で描かれたような男同士のありよう(Friends and Enemies)と比べてみてどうなのか、とか。
構成はシンプルだが、いろんな人物やエピソードがなんの説明も時系もなしに並べられていって、その流れというかモザイク模様がスマイリーのあのなんともいえない複雑な無表情に収斂していく、その描き方はよいかも。
"The Social..."も、Jesse Eisenbergのあの無表情がなければ成り立たない映画だった。
あと、これってやっぱり映画で、小説ではないんだなー、と改めておもった。 わかりにくいけど。
でもなー、ラストの追い詰めるところはもうちょっといろいろあってよかったかも。
隠れ家に向かうスマイリー達を静かに追っていた影とか。 もぐらが見つかったところでギラムが彼に激昂してつかみかかるとことか。
録音装置を確認するのに、原作では"Ol' Man River"を歌ったはずなのだが、あの詩はなんだろ? とか。
ラストはやっぱりジム・プリドーと子供のやりとりで終わってほしかったなあ。
5.10.2012
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。