5.07.2012

[film] Beresina oder Die letzten Tage der Schweiz (1999)

4日の午後にシネマヴェーラでみました。 お天気のせいで頭のなかぼろかすだったので1本だけ。

『ベレジーナ』。そのまま訳すと『ベレジーナ あるいはスイス最期の日々』?

イリーナはロシアからやってきた高級娼婦さん(本人はあんまそう思ってない)で、スイスの市民権が欲しくてたまんなくて(なんでそんなに欲しがるのかよくわからない)、ファッションデザイナー(Geraldine Chaplin)と弁護士が結託して政財界のお偉方の秘密とか交際関係を探るために彼女に市民権をちらつかせつついろんな客を紹介するの。

彼女のむっちりしたからだと天真爛漫な振るまいに客のすけべじじい共はみんな大喜びであれこれプレイをしてもらって人気者になった彼女のところにいろんな情報も集まるのだが、そのうちでっかいヤマにぶつかって、よくわかんないけど市民権(名誉市民権よ!)確実だわ、って家族を呼び寄せる準備までして舞いあがったところで、やっぱしこれはやばすぎるのでぜんぶだめ、強制送還、ということになるの。

彼女はくそあたまきて絶望して朝鮮人参の錠剤を(睡眠薬と思い込み)ウォッカで流し込んで、やけくそついでに客の退役軍人のおじいちゃんが言ってた伝説のコブラ団に電話してみたら眠れるコブラ達が目覚めてクーデターが発動されちゃうの。

東側の娼婦のおねえさんが騒いだら国まで潰れた、っていうブラックコメディなんだろうけど、今や(本作の製作は1999年)、ブラックでもなんでもないとこがなんかすごい。 
政財界とメディアがぜんぶぐるでコトを転がしていることも、そのぐるの図式とか構造がいろんな事故をきっかけに見えやすくなっていることも、コールガールが彼らにとってなくてはならないものであることも。 
要するにこんなの、今なら起こってもおかしくないんじゃないか、なの。 欧州の通貨危機とエロスキャンダルを連動させれば、国なんて潰せちまうんじゃないのか、とか。 やるなら今だ!

足んないのはコブラ団くらいだけど、これは今からでも作れそうな気がする。
国のため、子孫のために命を捨ててええ、ていうおじいさんたちを義勇軍とかいう名目で募れば、結構できてしまうのではないか、とか。 (実はもうあったりして)

ていう割と生々しい側面に目が向かいがちだが、これって力強い女の子の冒険譚とおとぎ話でもあって、ころころ変わっていく彼女の衣装とか挙動にじじい共がきりきり舞いさせられてざまーみろ、もあるし、ミュージカルみたいなとこもあるし、とにかく楽しいんだよ。

Renato Bertaのカメラは、女の子のぴっちりした衣装とかお肌のやらしいかんじの描写からラストの荘厳な戴冠式(案外まじ)までしみじみうっとりする。 こんな芸当できるのはこのひとのカメラだけだよ。

コブラ団が動き出すとこもおもしろいよねえ。みんなもうよれよれのおじいさん達なのに嬉々として銃とか持ち出して出かけて(人殺しに)いくの。

しかしこれがDaniel Schmidさんの遺作なの?
IMDBによるとアメリカでは公開されていないみたいだけど、これってやっぱし不適切、やばすぎ、と判断されたからなのかしらー。

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