10.08.2026

[film] Violent Saturday (1955)

9月29日、火曜日の晩、シネマヴェーラの「映画を輝かせるために」特集で見ました。

監督はRichard Fleischer、邦題は『恐怖の土曜日』。90分。 低予算カラーのシネマスコープ。

何度でも書くけど、今回のこの特集が痛快としか言いようがないのは、「映画を輝かせるために」と題されて集められた映画が、ろくでなし、ごろつき、犯罪者など、社会規範から外れたことばかりしている連中のしょうもない所業ばかりを活写した、それ自体が映画文化の端にも引っ掛からなさそうな、一見どこからどうみても「輝かせる」なんておこがましい、そんな作品ばかり(そうじゃないのもあるけど)が並べられていることで、こういうのはずっと街の片隅で、いつでもだらだらと見られるようにしておいてほしい。 ロンドンのPrince Charles Cinemaがやっているようなかんじで。NYのFilm Forumみたいにおいしいポップコーンとキャロットケーキがあって。

銅鉱山がある小さな田舎町に、列車に乗って3人組の銀行強盗(Stephen McNally, Lee Marvin, J. Carrol Naish)がやってくる。銅鉱山の支配人(Richard Egan)は浮気性の妻を抱えてどうしたものか、になっているし、同僚のSherry (Victor Mature)は、よき父親ふうだが、彼の息子は第二次大戦に行かなかった父親を恥じているし、銀行の支配人はしょうもない覗き魔だし、図書館員のElsie (Sylvia Sidney)は借金返済のため盗みを働こうとしている、そんな中に立ちあがる犯罪映画、というよりはふつうにそこらで働く人たちがそれぞれに抱える日々の凸凹のどこか、ある土曜日の昼間に、いきなり銀行強盗が割って入ったらこんな… というアンサンブル劇。

車の乗り継ぎで農家にやってきた強盗たちにSherryひとりが納屋の影から立ち向かおうとして、傍にいた農家のアーミッシュの家族に手伝ってくれ、というが暴力はいけない、って宗教的に断られてしまい、でも、というあたりはたまらない。すべては劇的でもなんでもなく、あっという間のあれよあれよ、で立て続けに起こって、でも元に戻ることはない。亡くなった人は戻ってこないし、旅行の計画は宙に浮いたまま...  後悔まみれのあなたに、だからといってどうしろというのか、を軽く投げてくる。 そんなヴァイオレントな土曜日。

ここから銀行強盗要素を抜いてみたら構造としてどんなふうになるのか、見えるのか、っていうあたりからアルトマンの群像劇は始まったのだろうか、とか。


Suddenly (1954)


9月30日、水曜日の晩に、↑と同じ特集で見ました。
たるいったらない火曜日と水曜日の晩、会社帰りにこんなのばかり見ていたらすべてどうでもよくなってしまう。

監督はLewis Allen、邦題は『三人の狙撃者』。77分。

↑のも、のどかな田舎町で起こった3人組による強奪で、こちらも3人組による狙撃で、見て一週間経ってしまうとどっちがどっちだったか? って混同しがち。 ↑のはLee Marvin vs. Victor Mature、こちらはFrank Sinatra vs. Sterling Hayden、銀行強盗 vs. 大統領狙撃、どちらも金めあて。

冒頭、”Suddenly” っていうのは町の名前なんですよ、って説明が入る。 「いきなり町」。

カリフォルニアのこの小さな町にアメリカ合衆国大統領の列車が停車することになり、駅を見下ろす丘の上に建つBenson家 – 戦争で夫を亡くしたEllen、その幼い息子、義父の3人が暮らす - に大統領到着前の警備チェックを行うFBIの警護官と名乗る3人の男が現れて、でもこいつらが狙撃犯で、そこに本物の大統領の警護官と地元のシェリフのTod (Sterling Hayden)が現れると、連中は簡単に警護官を撃ち殺して、Todも腕を撃たれて、狙撃犯のリーダーのBaron (Frank Sinatra)はテンション高くべらべら喋って家族を脅しながら銃を据え付けたりしていく。

そこにたまたまTVの修理で電気屋が来たり、引き出しにあるおじいちゃんの銃をどうにか、とか、でもどれもこれもうまくいかなくて、駅の方に様子を見に行ったひとりが撃たれて(これはまぬけすぎ)、部屋の中では電気屋が仕掛けたコップの水のびりびりで…

スリリングなところと間抜けなところが絶妙に混在・交錯しつつ、一触即発のクライマックスになだれこむ... わけではなく、どちらかというとBaronのサイコパス設定の方が残ったりするのだが、とにかくぜんぶ予定通りにはいかないSuddenlyで、大統領を乗せた列車みたいに77分がびゅん、て。

Frank Sinatraはやっぱりうまくて、Sterling Haydenとのやりあいとか、たまんないの。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。