10月11日、日曜日の昼、二子玉川の109シネマズのIMAXで見ました。
特殊メイクでぶよぶよしわしわ不格好なTom Cruiseが明らかにロボットなぼろ猫をなでなでしながら地球資源起因の大規模危機について偉そうな連中とわーわー激論してさあ大変! みたいな予告だけで、悪ふざけにしてもこんなのぜったいムリ、見るもんか、だったのだが、Mark Cousinsさんが自分にとってブレヒトやマックス・ベックマンに近い、オーソン・ウェルズも気に入ったと思う、と言っていたとか、Neil Youngも絶賛、とかいうので見ることにした。思っていたようなさいてーの映画ではなかったが、描かれた先の世界がさいてーであることには変わりない。ほーらこんなにおかしいだろ? というパロディも含めて笑わせる映画というより、根にある目線はものすごくシリアスで暗いやつ。
もう公開から時間が経っていろいろバレ始めているのでそのまま書くけど、まだ知りたくないひとは以下、読まないほうがよいかも。見た後だと割とどうでもよくなるような小細工(← ほめてる)ではあるのだが。
監督Alejandro González Iñárritu、撮影Emmanuel Lubezki、プロダクション・デザインはDennis Gassner。 いちおうWarner Bros.としての最後の映画作品になるのだそう。
父親の代からテキサスの石油で財をなした”Digger” Rockwell (Tom Cruise)が窓の向こうに壮麗な景色が広がる豪邸のベッドで目を覚まして瀕死の老猫Maggie(『熱いトタン屋根の上の猫』のマギーだよね)をよしよししてから、彼の会社が開発を強行したアラスカとグリーンランドの石油掘削基地で進行している深刻な事態について部下から緊急の連絡を受けて、科学者Ganesh (Riz Ahmed)も間違いなくやばいと言っているし、肛門のガンで死にそうなアメリカ合衆国大統領(John Goodman)以下宗教関係者も含めて喧々諤々の議論の末に、やっぱりこれはかなりやばいぞ、ってなったところで、ここまでの一式は、演劇“Fossil Fools”の舞台セットで、ここまでのやりとりは本番直前のドレスリハーサルであることがわかる。
間もなくこの舞台の初日を迎えようといていて主役のDiggerを演じるCurtis Markson (Tom Cruise)は、20年前の初演時からこの役を演じているので、テーマや演技・役のあり姿については自信たっぷりなのに、事あるごとに女性の若手演出家と衝突してどうにも居心地が悪く、そんな時に、ジャマイカの空港から飛びたった娘の飛行機が消息不明になっていることを知ってあれこれがたがたになっていく。
ここで楽屋に貼ってある(結構長い時間映っていた)John Cassavetesの”Opening Night” (1977)とか、同じIñárrituによる”Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)” (2014)のMichael Keatonを思い起こしたりもするのだが、Gena Rowlandsのように劇を改変してしまう度胸はないし、Tom Cruiseはあの時落ち目だったMichael Keatonとも違うので、主演の苦悶を通して演劇のありようを探ったり問うたりするようなものでもないのか、と思って。
リハーサルの舞台袖にいて、Curtisの娘を捜してあげましょう、という気弱そうな青年Kenny (Jesse Plemons)が申し出て実際に探しだしてくれて、実は彼がこの舞台のプロデューサーで、実在したDiggerの親戚だったと…
政府高官と富豪を巻き込んだバカバカしい環境危機茶番「劇」として、上演後は大喝采 – ただしよく見ると客席には動いていないマネキンがいっぱい – で、Curtisもやり遂げたぞ、って英雄伝説を更新するそんな劇場の外に広がっているのは ー。
“Don’t Look Up” (2021)のように茶化そうが、この映画のようにメタ演劇にしてDigしてみようが、世界の危機は止まらないし、止めようがないだろう、どうしてかというと.. っていうのを二重三重くらい念を入れて語って、劇場から出た人たちの家路までこんなだぞ、っていうのだが、そうなってもそんな時に演劇を見る人たち、演劇を作る人たちには響かないのだろうよ、って。最近のチケット代のあがり方をみると、演劇すばらしいい! なんてあまり…
Tom Cruiseはふつうによいのだが、あんなふうに体型くずして老いた無様な姿を晒さないと- この映画に限った話ではないか - こんなメッセージも受け取って貰えないって、これはこれでやばいような。だーかーらーずっとやばいって言ってるだろ、ってぐるぐる。
環境問題とAIと富豪問題、これらをほんとどうにかしないと、Warnerどころか映画そのものがなくなるよ。
あと、地球温暖化、環境問題について本当に頭にきて悔しくてたまらないのは、こいつら金持ちを嗤ったりどうにかすればどうにか、なんて話ではなくて、連中の利益や高笑いの反対側でずっと生きてきた動物たちが殺されたり種を絶たれてしまったりすることなんだよ、だから地獄におちろ!消えろ!って(ずっと念じている)。
10.19.2026
[film] Digger (2026)
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