9月21日、月曜日の晩、West Endの@sohoplaceで見ました。
この日が初日で、最初からぜんぜんチケット取れなかったのだが、渡英直前にどうにか取れた。
原作はEdward Albeeの同名戯曲 (1962) - 1966年にMike Nichols/ Elizabeth Taylor/ Richard Burtonにより映画化もされている。 今回の演出はMarianne Elliott。公演時間は休憩1回を入れて3時間10分くらい(Act1で約2時間、Act2 & 3で約1時間)。
この劇場は舞台が円形で客が取り囲んで - 1階席だと家政婦が見るような位置から見守る形式、ミッドセンチュリーのゆったりモダンな家具、レコードプレーヤー、バーカウンタ、本棚にソファ、流れているのは当然ラウンジジャズ。Act1の後、Act2では家具などの配置が180度変わっていて、Act3では、ものすごくゆっくりと床が回転していることがわかる。
開演前、客席の向かい側に誰がどうみてもJudi Denchさま(と隣にいたのは誰?)が姿を現し、周囲がざわざわしだす。そりゃ初日だもの。
大学で歴史学を教えている初老のGeorge (Billy Crudup)とMartha (Gillian Anderson)の夫婦が夜中の2時にぐでんぐでんのご機嫌状態でなだれ込むように帰宅して、それぞれバカなことを言ったりやったりしていると玄関のベルが鳴って、新任で生物学を教えるNick (Josh Dylan)と新妻のHoney (Phoebe Horn)のふたりが、さっきの会で誘われたので来ました、って。もう夜遅いし悪いし、と遠慮がちなふたりに対して、酔っぱらってサディスティックな方にスイッチが入ってしまったGeorgeとMarthaは飛んで火にいるウブなふたりを餌食にすべく容赦なく襲いかかるのだが。
基本は社会的にも優位な位置に立つGeorgeたち夫婦が結婚して間もないのでいろいろ努力したり苦労したりしていそうなNickとHoneyを夫婦のこととか仕事のことなどについておもしろおかしく、そのうちこんなんなっちゃうんだぞ、って自虐もこめて脅したり吹かしたり、その反応を見て楽しむ - 日本社会にもよくある – あれだと思うのだが、若いふたりに向かったそれらのネタが、自分たちの方に、ネタによっては数倍でっかいブーメランになって返ってきて、酔いもあるのでその打突のインパクトも倍以上、どういうことだよこれ? ってわめきだしたり。
「ヴァージニアウルフなんてこわくない!」って童歌のように振りをつけて歌うことで、おもしろおかしく茶化していたネタのいくつかが、彼らがシリアスに秘密にしていた「息子」にまで及んだことで、隠されていた穴に落ちて戻れなくなってしまうGeorgeと、そうなることなんてわかっていただろうがー、のMarthaと。
Martha役のGillian Andersonは思っていた通りの強さとしなやかさで酷くやられたかに見えても立ちあがって薄ら笑いを浮かべて反撃し、George役のBilly Crudupはインテリ風のメガネをかけ、動きは今にも一線を越えてしまいそうなDavid Byrne(”Burning Down the House”)か”Falling Down” (1993)でブチ切れてしまうMichael Douglas(になる手前)のようにも見える。リングサイドで見た限りでは、Gillianやや優勢、でもBillyは不気味にまだなにかありそう.. といったかんじ。 そして若いふたりも若さゆえの無知を前に出して簡単には引き下がらないで蘇って… というアンサンブルがスリリングで3時間あっという間だったことは確か。
これ、コンプラやハラスメントが今ほど言われるようになる前、それに伴うトラウマや乗り越えるべき壁がはっきりとあり、これらにぶち当たったり克服したりすることがある種の「成長」と見做されたり、これらを(タイトルのような)呪文を唱えて乗り切っちゃえ、の暗黒時代の話ではあるので、冷静に振り返るとなんで酔っぱらっているとは言えこんな怖いことになっちゃってるの? はあるかも。(Production TeamにはちゃんとMovement & Intimacy Directorがいる)
それにしても3日前に見た映画”Teenage Sex and Death at Camp Miasma” (2026)に続いてGillian Andersonはすさまじく、著書も2年前の”Want”に続く最新刊”More”が書店に並んでいて絶好調なのかも。
そして、見た目は朗らか爽やかで賢そうながら、ねちねちどす黒く変容していく - 最近の腐れた日本の首長がそうであるような - Billy Crudupもはっきり今を体現する人としてそこにいるのだった。
9.28.2026
[theatre] Who’s Afraid of Virginia Woolf?
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