9月18日、金曜日の昼、CurzonのSohoで見ました。平日の昼間なので客席には数名しか。
作・監督は”I Saw the TV Glow”(2024)のJane Shoenbrun - この人(sheではなくthey/them)はいま出ているSight and Sound誌の表紙 - ちなみに先月号の表紙はChristopher Nolan – になっていたので、すごいかも、と。公開は先月だったので大きいスクリーンでの上映はなくなっていたが、公開直後はBFI IMAXでの上映もあったらしい。 タイトルから成人映画指定かと思ったがR15だった。実際そんな怖くなかったからだいじょうぶ – というかふつうのティーンホラーを期待していくと頭にくるかも。
”I Saw the TV Glow”でカルト的な人気を博したテレビ番組シリーズを題材に、それに決定的な影響を受けた(かつての)子供たちの生態、「成長」を追ったように、ここでは(あまり詳しくないのだが)『13日の金曜日』や『ハロウィン』や『エルム街』など、80年代のスラッシャー映画の伝説に連なる”Camp Miasma”のシリーズを置いて、防火服を着て頭に天井の通気口カバーを仮面のように被ったトランスジェンダーの殺人鬼”Little Death”が湖の底から現れて湖畔のキャンプでいちゃいちゃしている若者たちを槍で串刺しにしたり腕や首を切断したりしていて、爆発的な人気を得てシリーズ化されるものの、(よくある話)みるみる失速していった様子が冒頭で描かれて、かつてティーンとしてこの作品に浸っていたインディー系の映画監督Kris (Hannah Einbinder)のところに、同シリーズのリブート企画としてOrigin Storyを描く、という依頼が舞い込んで、舞いあがって伝説の撮影現場に向かうことになる。
その場所はGPS圏からも微妙に外れた、でも映画シリーズを何度も見てきたKrisにとっては間違いなく約束の地としか思えないような場所で、そこで彼女は第一作のFinal Girlで、同作出演後に映画界から引退して彼女自身が伝説となっているBilly Presley (Gillian Anderson)に会いに行く – 彼女は第一作の撮影現場のすぐそばの山荘に、”What Ever Happened to Baby Jane?” (1962)のBette Davisのように謎めいた振る舞いで籠って、ひとりジャンクフード(KFC)とアメリカン駄菓子にまみれて暮らしていた...
Krisはそんな彼女に自分がティーンの頃にこの映画からどれほどの影響を受けたのか、この映画の起源と成り立ちを掘りさげていくことが自分にとってどれだけ重要なことなのかを語って、それを横で聞いていくBillyはわかっているのかわかっていないのか、Krisを挑発するような怪しげな行動 – 不愛想だが嫌われてはいないらしい - をとって、そんなふうに近寄っていくと湖水の奥からLittle Deathが…
幼い頃の自分に決定的な影響を与えた映画なり文学なりを掘り下げていくことに伴う痛み、幼年期の終わり、いくつかの死、それらを打ち棄てられた対象 - 生きているものであれ死んでいるものであれ - のなかに見て語っていくことで蘇ってくるなにかって、なんなのか。 ”I Saw the TV Glow”ではそのメディウムとして古いブラウン管TVが置かれていたが、ここではBillyの家にある古い映写室がそういうのが湧きだす場所・洞窟として機能していて、それよりもなによりも山姥のようなBilly - Gillian Andersonがすばらしいの。
ある文化と共に育つ、それに没入していくことで自身の世界(観)を形づくること、それによって周囲との段差や痛みが広がったとしても – ふつうにでる – その痛みの正体をここまでメタ・ホラーのような形で映像化したこと、それがFinal Girl – ぼろぼろになりながらも生き残った最後のひとりとの対峙を通して現れてくることなど、ちょっと感動してしまった。
あと、思春期の呪い、世界なんて終わってしまえ、という祈りを描く、という点ではRichard Kellyからの連なりも。
9.25.2026
[film] Teenage Sex and Death at Camp Miasma (2026)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。