6.01.2026

[film] Victoria (2016)

5月26日、火曜日の夕方、日仏学院エスパス・イマージュ で、第七回映画批評月間のプレ・イベント&サブ企画 - 『急に具合が悪くなる』公開記念 ヴィルジニー・エフィラ特集』で見ました。

Virginie Efiraご本人がやって来てトークをする、ということで、ぱんぱんに入っていた。

監督は”Anatomie d'une chute” (2023) - 『落下の解剖学』 のJustine Triet、彼女の長編2作め。同年のカンヌ国際映画祭批評家週間に出品され、わんわんのJacquesがPalm DogのJury Prizeを受賞し、セザール賞で5部門にノミネートされている。

英語題は”In Bed with Victoria”。このタイトルで思い出すのはドキュメンタリーの”In Bed with Madonna” (1991) - 別名は”Madonna: Truth or Dare”。

法廷では辣腕の女性弁護士Victoria (Virginie Efira)は、私生活と恋はさっぱりのさんざんで、幼い2人の娘を抱えながらこのままでいいのか、これからどうするつもりだ問題を抱えてどん詰まっていって、親友のVincent (Melvil Poupaud)の結婚式に出ても、オンライン・マッチングで出会った男と寝たりしても、焦りばかりが湧いてきて、かつて弁護をしたヤクの売人Sam (Vincent Lacoste)が、法律を学びたいのでインターンで雇ってほしい、としつこく言ってくるので住み込みの子守りとして置いてあげて、いいのか? で、とにかく落ち着かないまま、結果ふつうに怪しい女性になってしまっている。

こういう設定はSATCでもBridget Jonesでも、この頃に公開された”Trainwreck” (2015)でも、世間的にはそんなおかしいところがあるとは思えないのに本人がひとり焦りまくって自分で墓穴や墓石を用意してそこに落ちたり籠ったりであーめん、てやっているもてない女性を中心に据えてその彷徨いを延々とらえてシリーズ化もできるrom-comの典型で、エピソードとしては親友のVincent (Melvil Poupaud)が妻を刺した容疑の裁判で弁護を頼まれるとか、人気ブロガーとなった元夫が自分のプライベートで淫らな過去 - 裁判官と浮気していた等 - を晒しにくるのに対抗したりとか、そういう混乱のなか、Vincentの事件の証人と接触して、6カ月間の弁護士資格停止処分を受けたり、なーにやってるんだろ自分、なことばかりが積みあがってきてとにかくぜんぶイヤになっている。

このしんどさが周囲とのずれとか軋轢のなかでばたばた折り重なってやってくる、というより、日々の自分のしんどい実存、その重さ、なんで自分はいつまでたってもこんなふう? こんなふうにいつまで? というどうしたものか、を抜けて流血するように湧いてきて止まらないなにか、として現れてくるのがよくて、全体の流れはコメディの体裁を取っているようで、受ける印象はとても深くて重い実存ドラマのように見えてくる。なので、終盤のSamとの互いを探りあうようなラブシーンがすとん、と腑に落ちるように沁みてくる。これがすべてを解決するわけではないけどね… という距離の取り方。

この辺の淵とか引っかぶりで微細に揺れ動いて、でも留まることのないエモーションの出し方は、彼女が主演した『パリの記憶』 (2022)でも見ることができるもので、上映後のトークは、ほらーやっぱりー としか言いようのない彼女の輪郭のつよさを確認できるのだった。もうじきの『急に具合が悪くなる』でも、このタイトルだけでぜったい間違いないやつ、と確信があるので、楽しみ。見ている側もぜったい引き摺られて急に具合が悪くなったりするようなやつに違いない、と思ったり。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。