6月6日、土曜日の午後、シネマヴェーラのRobert Mitchum特集で見ました。
ひとつ前に書いた“Secret Ceremony” (1968)のすぐ後で、すばらしく充実した2本立て(じゃないけど)となった。
原作はThelma Strabelが雑誌Woman's Home Companionに掲載した小説"You Were There" (1944-45)、脚色はEdward Chodorov、ここにノンクレジットでMarguerite RobertsとGeorge Oppenheimerが協力している。監督はVincente Minnelli、撮影はKarl Freund (!?)。 Vincente Minnelliの” The Clock” (1945)に続くドラマ・フィルム - この前はずっとミュージカル - の2作目。邦題は『底流』。
科学者である父に倣って、自身も科学者・研究者としてのキャリアを考えていたAnn Hamilton(Katharine Hepburn)は父を訪ねてきた科学者/実業家のAlan Garroway (Robert Taylor)と恋におちて、割と簡単に結婚してしまう。 ふたりは幸せで、その後ワシントンDCに越して、Annは慣れない社交界にどうにか適応しなきゃ、って苦労していたある日、手にとった田園詩集にものすごく癒されて、これ大好き! というとAlanは急に不機嫌になって、それは弟のMichael (Robert Mitchum)の本だ、という。彼とは疎遠になってもう会っていない、という。
その後、西海岸のAlanの実家に行くと、Michaelのでっかい荒馬とか、彼の影とか痕があちこちにあったり感じられたりするのがいちいち気になって、でもその都度、Alanは癇癪を起して止まらなくなり、それがあまりに強く激しいので兄弟の仲違いの原因はなんなのか、なぜ名前を出しただけであんなに不機嫌になるのかを知りたくなる。 そしてそれを確認するためにもMichael本人に直接会ってみたい.. 会うことさえできれば… がぐるぐる回りだして止まらなくなるのが”Undercurrent”。
この辺の盛りあげかたが流石で、とても他人とは思えないくらい自分と好みが合っているMichaelに惹かれていてもたってもいられない、それと並行してそうではないAlanとの関係はどうでもよいただの夫に格下げされていって、なのに彼は嫌われ妄想を過度に勝手に膨らませてぶつかったり詮索してきたりするので余計に溝が広がって距離を置きたくなる、という悪循環。
ひとつの方向として、気配ばかりで正体が見えない相手を探す/待つファンタジーの側面があり – 一度庭師を装ったMichaelとさらりと会う場面があったり、ずっと流れてきて耳から離れないブラームスのピアノとか - もうひとつにはそれを妨害したり妬んだりモンスターとしての正体を現していく夫をどうしたらよいものか、がちょっと怖いサスペンスのように描かれる。で、見ている側ははらはらしながら、AnnとMichaelの出会いとAnnとAlanの破局を待つことになるの。 夫婦の関係が壊れていくひとつの典型的なパターンが極めて精緻に、”Undercurrent”の渦を意識させつつ、抉り出すように描かれていて、たまんない。
やがてAlanの元カノで、Michaelのこともよく知るSylvia (Jayne Meadows)との会話で確信を深めたAnnだったが、その頃にはAlanも覚悟を固めてAnnのところにやってくるのだった。最後のほうはKatharine Hepburnの聡明さ vs. ノワールの狂った男の性むき出しで、どうなるかは見えているのだが、それらも含めて最後のきたきたきた感が溢れて、そこに割って入るのが眠い目をしたRobert Mitchumである、という見事さ。彼、最後の方までなかなか姿を現さないというのがとても効果的で。しかしどう見てもRobert Taylorと兄弟には見えないのだけど。
あの後、AnnとMichaelは一緒になったのだろうか? そんな簡単にいくわけない、実はMichaelは多重人格者だった... というあたりをつい期待してしまう。
あと、最初の方にでてくるわんこのRommyがものすごくかわいいの。
シネマヴェーラのRobert Mitchum特集はここまでになってしまった。 会社のバカ。だいっきらい。
RIP David Hockney..
何度も通った2017年のTate Britainでのレトロスペクティヴが思い出される。
こないだまでの英国生活の思い出の最後に買ったのが”David Hockney by David Hockney” (1976)のサイン本だった。
ありがとうございました。
6.12.2026
[film] Undercurrent (1946)
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