7.30.2025

[log] Bern - July 26 2025

7月26日の土曜日はBernに行った。
腰から下ぜんぶ足首までがばりばりの筋肉痛で泣きたかったけど、泣いても夏休みは止まってくれない。
 
Kunstmuseum Bern

開館時間の10時に間に合うように行った。ベルンの駅から歩いていくと、あちこちの建物に熊の旗が刺さっている。そうここは熊の国。 美術館の床にも熊がいた。
 
Marisa Merz - Ascoltare lo spazio / Listen to the Space
 
Arte Povera(貧しい芸術)運動に参加していた唯一の女性、イタリアの彫刻・オブジェ作家Marisa Merz (1926–2019)のスイスでは30年ぶりになるというレトロスペクティブ。
 
シンプルで無骨でわかりやすい素材(アルミ、網、糸、布、棒など)とテーマ、そのブツの(ややぶっきらぼうな)置き方、置かれ方が家や部屋や目、といった空間のなかでどんなふうにその愛や想いやぐるぐるを編みあげていくのか、をまっすぐに問いかけてきて、ところどころでやや激しくぐしゃぐしゃと荒れた絵画作品がほうらって、その断面を撫でていく。自分がオブジェとかインスタレーション作品に求めているのって多分こういうものなのかも、って思ったりした。
 
Collection intervention by Amy Sillman
 
自身も画家であるNYのAmy Sillman(1955-)がここの美術館の収蔵品(絵画、写真、オブジェ、インスタレーション等)をキュレーションして、壁に薄っすら描いた自分の作品も含めて時代も地域もお構いなしにでこぼこ自在に並べていて、端から見ていくとおもしろい。おもしろいのだが、きちんと流れをわかるには2~3回回らないと難しい気がして、その辺がなー、だった。
 
これ以外の常設展示のところは割とふつうだった。クールベの「海」の素敵なのがあった。(クールベの「海」を収集する委員会)
 

Zentrum Paul Klee

 
Bern美術館からトラムで少し遠めのとこにある。ここも長年の野望のひとつだった。
トウモロコシ畑(?)の向こうにRenzo Piano設計のうねりがうにゃうにゃうにゃと3つ並ぶ。
展覧会とか展示をやっているのは真ん中のうにゃ、だけのようだった。
 
Rose Wylie. Flick and Float
 
2017年、Serpentine Galleriesでの個展 - ”Quack Quack”で出会って大好きになり、こないだDavid Zwirnerから出たでっかい画集も買ってしまった彼女と、まさかこんなところで会うことになろうとは。1階のものすごく広いスペースにでっかい作品がざーっと並べてあり、隅では彼女のインタビュー映像も流れている。

眺めているだけでなんか楽しくなったりお出かけしたくなったりスキップしたくなったりする。
カタログは、Juergen Tellerが撮影したアトリエでの彼女の写真がいっぱいあって、どうしようか悩んでやめた。

来年はロンドンのRoyal Academy of Artsで回顧展もあるよ。
 
Kosmos Klee. The Collection
 
地下は常設に近いかたちでPaul Kleeの展示があるようで、彼の子供の頃からの写真とか作品が時系列で並べられている。
 
そのなかの更に小特集のようなかたちで、” Fokus. Cover Star Klee”と題した、主に西欧圏でブックカバーとして採用されたKlee作品(と本の表紙の現物たち)を特集している。
 
日本のベンヤミン選集の表紙にもあった気がする”Angelus Novus” (1920) - 『新しい天使』は、絵の現物はなくて(残念、イェルサレムにあるのね)、でも採用されているブックカバーは相当な数があった。もうひとつ採用の多い、まん丸顔の“Senecio” (1922) - 『老衰する男の頭』もなくて、あーあ、と思ったら翌日、Baselの美術館で出会うことができた。

しかしいつも思うことだが、Kleeって(彼の絵にあるパターンと同じで)どこまでも際限がないよね。
お昼は、ここのカフェでアプリコットタルトとKlee Teaっていうアイスティーを戴いた。とってもおいしい。

ドイツと繋がっているからか、ここの国の粉もの(パン、プレッツェル、タルト)は全般におそろしくおいしい。こちらも際限がない。

 
バスで少し戻って熊公園に行った。河べりの少し高くなっているところを仕切って、そこにリアル熊を放していて、それを川とか崖の上とか橋の上から見ることができる。24時間やっていて無料(コンビニか)。

草や木の陰から熊さんがのこのこ出てきたり立ち止まったりしているのを見るだけなのだが、本当にただのふつうの河べりなのでライブっぽい臨場感がすごい。こういう場所で本当に熊に会った時の想定や想像を補完してくれるというか。(熊はなにも考えていないよ)
 
それにしても、チューリヒでもルツェルンでもここでもバーゼルでも、スイスの川ってどこもなんであんなに素敵なのか?水量?水流?うねったり小さな渦を描いたりしながらざばざばと流れていって見ているだけでまったく飽きないんだけど。
 
熊公園からそのまま旧市街をだらだら歩く。古書店などがいっぱいあってやばい。
我慢できなくなった一軒に入って、あれこれ見て、Karl WalserとRobert Walserの評伝本を買った。ドイツ語だけど絵がいっぱいあったし… ふたりともベルンの出身だったことは後で知った。

ここで、ガラスケースに入ったココシュカのドローイング集を見せて貰ったら一冊が700、もう一冊が400で、やっぱりなー、になったのだが、ロンドンにいたら暫し考えて(考えなくて)買ってしまったかもしれない。とにかくやばい。
 
この金縛り状態から逃れないとあかん、と少し離れたところにある自然史博物館に走り込むように入る。
ホルマリン標本とか剥製が結構いっぱいあった。あと、スイスでは有名らしい(ハチ公か?)遭難救助犬のBarryのコーナーと剥製もあって、いちど救助されてみたかったかも、などと思った。
 
あと、まちがって3階に行ってしまったら博物館の事務所で、窓際にそこで飼われていたのだろうかにゃんこの剥製があった。なんでも剥製にしちゃうのね。

せっかく熊の国に来たので熊のぬいぐるみとか置物とか買って帰ろうかと思っていたのだが適切なのがなくて連れて帰れなかったのは残念だった。

電車でチューリッヒに戻ったのは17時くらいで雨がざーざー降っていたのだが、まだ見ていなかったFraumünster(聖母教会)に入ってシャガールのステンドグラスなどを見て、その日は終わり。

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