6月24日、火曜日の晩、BFI Southbankでたまにやっている”Projecting the Archive”というBFIのアーカイブから持ってきた昔のフィルムを上映する会、で見ました。
監督は後にHammer FilmsでB級ホラーを出していくTerence Fisher、脚本を後に”Alfee” (1966)や007ものを書くLewis Gilbert。制作はGainsborough Picturesで、とにかくとっても英国調の松竹大船というか。
結婚相談所 - Marriage Bureauにそれぞれの事情や理由を抱え結婚相手を求めてやってくる人々 - 中心人物はいない - を巡っていくアンサンブルドラマで、各エピソードの進行がランダムに右から左に流れていくだけの取っ散らかったやつなのだが、ところどころおもしろくてよいの。いまはオンラインのマッチングで見えなくなっているあれこれが、全て手動で何らかの介在が必要であった、と。
新聞記者のDavid (David Tomlinson – “Mary Poppins”(1964)のGeorge Banksね。空軍パイロットだったこの人は2回飛行機事故にあって死ななかった、って上映前のトークで)が結婚相談所の実態を探るべく老姉妹が経営するところに客としてやってきて、オーストラリアの牧羊家、とか適当に嘘をついて置いてあった顧客ファイルを持ち去り、候補者と会ってみるのだが、そこから選んで仲良くなった相手もDavidと同じようになりすましで固めまくっていて、やがてDavidの記事と共に彼の正体が明らかになると…
ダンスホールでホステスをしているPat (Susan Shaw)は自分を田舎者であるというMartin (Patrick Holt)と出会って少しときめくのだが、彼が聖職者のカラーをつけているので諦めて、でも彼は諦めずに追ってきて、でもPatの職業がばれてしまうと…
フランス人女性のMarcelle (Zena Marshall)は英国の滞在許可期限が迫っていてお金を払ってでも結婚して滞在を延ばしたくて、Andrew (Derek Bond)は新事業のためのお金がほしくて、出会った二人はそれを互いに正直に話して恋におちて、でもMarcelleはフランスに恋人Louisがいて、そいつが殺人犯で脱獄して英国に渡ってきてMarcelleを探していることがわかり、Louisが現れると、恋人どころか夫だったことがわかるのだが、Andrewと格闘の末バルコニーから落ちてLouisは死んじゃうの。
我儘で女性嫌いでもちろん結婚なんかするもんかのSir Gordon Scott(Guy Middleton)の執事のSaunders (Denis O'Dea)が仕事を辞めて引退するので伴侶がほしいと結婚相談所にやってきて、理想の女性としてピックアップされた女教師のEnid (Nora Swinburne)がSir Scottの家にやってくると、Saunders にいなくなられたら困るSir ScottはSaundersになりすましてわざと失礼な態度をとったりするのだが、Sir Scottはその時の彼女の態度と対応に感銘を受けて、Saundersが彼女を諦めた後に、彼女を探して結婚相談所まで行って…
こんなふうにどのエピソードもそれなりにおもしろく – 一番おもしろかったのはSir Scottのやつかな - しかし彼らみんな結婚なんてしなくても十分にひとりで生きていけそうな強くて濃いイギリス人たちなのになんで結婚相談所にまで行くんだろうか – 変なイギリス人! ていうのは改めて思った。日本の戦後のドラマを見てもたまに思うことだが、結婚というのが社会を渡っていくための予防接種みたいなものだったのかも、って。
Tornado (2025)
6月24日の晩、上のを見た後にBFI Southbankで見ました。
スコットランド映画の新作で、主演の日本人女性が有名芸能人夫婦の娘である、というのは後で知った。監督はJohn Maclean。
18世紀後半のスコットランドの荒野を逃げている女性(と子供)がいて、それをSugarman (Tim Roth)とLittle Sugar (Jack Lowden)の率いる見るからに悪そうな一団が追いかけていて、追いかけっこの途中で回想がはいる。
Tornado (Kôki)と父? のFujin (Takehiro Hira)が旅芸人の一座でちゃんばら人形劇をやって放浪していくうち、そこにいた子供がSugarmanの金貨を盗んだので、彼らはFujinを含む一座をほぼ皆殺しにしてTornadoたちを追い回して、でもやがてTornadoは覚醒して… という復讐西部劇みたいなお話し。
別にスコットランドで時代劇や西部劇があったってよいと思う。けど、平岳大に侍の恰好をさせて太刀を持たせて構えとか振りまでさせて、でも殺陣とか一切なしに弓矢でどん!はないよね。Tornadoの復讐にしても、あんなの殺陣でもなんでもないし。18世紀のスコットランドではそんなものは通用しなかったのだ、という冷たい話にするならそれはそれであり、かもだけど、それなら「我が名はトルネード!」とかかっこつけないでほしいわ。
というわけで”Marry Me”の幸せが一挙に冷めてしまったのだった。
7.03.2025
[film] Marry Me (1949)
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