7月13日、日曜日の夕方、ICAで見ました。
スペインのJonás Trueba監督によるスペイン-フランス映画で、英語題は”The Other Way Around”。
最近の映画ってなんか重めで怖いのが多くて、ほんとうはこういうrom-comとかコメディだけ見ていたいのに、英語圏ではぜんぜんなくて、たまにあってもだいたいヨーロッパのだったりする。これらもそう。
マドリッドのアパートで、結婚はしていないけど14年間付き合って一緒に暮らしてきた映画監督のAle (Itsaso Arana)と俳優のAlex (Vito Sanz)は別れることにして(映画が始まった時点で別れることは決まっていてどんなやりとりの果てにそうなったのかは不明)、別れは結婚式と同じくらいふたりにとってよいものになるはず – The Other Way Around - だからお別れのパーティーを盛大にやろう! やるべき! って、友人や家族に別れの報告とお別れパーティへの招待と準備を一緒にやっていくの。
ふたりをよく知る友人たちは、一様に残念だとか理想のカップルだと思っていたのに、とかいうのだが、ふたりの決意は固いようだし、それでも誘ってくれるのなら行くよ、とのってきてくれるし、かつて別れる時にはパーティをすべき、と主張したAleの父親(Fernando Trueba - 監督の実父で映画監督なのね)は、自分はそんなことを言った覚えはない、と言い、この本を読みたまえ、とキルケゴールの『反復』とカヴェルの『幸福の追求』ともう一冊(よく見えなかった)を勧めてきたり、ふたりの決意がひっくり返ることはないのだが、それぞれの引越しの荷造りをしたり、パーティのことを話しているうちに変なかんじになっていく。
あと、そんなふたりの日々の映像が、実はAleが撮って編集している映画の一部であることがわかったり、「別れ」を少し前に置いてみることで宙づりにされてしまったふたりのなにやってるんだろ、の日々や表情がなんか迫ってきてよくて、そしてパーティの当日がやってくる…
パートナーで一緒にいることとそれぞれ別の道をいくことは、果たしてThe Other Way Aroundになるのか? 仮にそうだったとして、実は幸せのありようとはあんま関係ないのではないか? ってラストのふたりのなんとも言えない表情を見て思った。
Jane Austen a gâché ma vie (2024)
7月18日、金曜日の夕方、Institut Françaisで見ました。
Laura Pianiの作・監督によるフランス映画で、英語題は”Jane Austen Wrecked My Life”。会話はフランス語半分、英語半分。
パリの書店Shakespeare and Company - 書棚が映っただけでそうとわかった – で書店員として働くAgathe (Camille Rutherford)は作家志望で、妹と甥と暮らしていて、同僚のFélix (Pablo Pauly)とは仲はよいけど深いところまでは行かない。ある日、中華料理屋で紹興酒を呑んでいたら浮かんできて書いた英語の小説をFélixが勝手に英国のJane Austen協会に送ったら、あなたはResidency Programの参加者に選ばれました、って招待が来て、よくわからないまま海峡を渡ってその協会の英国の邸宅に滞在して他の選考者と並んで小説 - でもなんでも - を書いていくことになる。
彼女を招いた協会を運営しているのはJane Austenのひいひいひいなんとかだという老夫婦で、実際には彼らの息子で現代文学を教えているらしいOliver (Charlie Anson)が仕切っているのだが、こいつがもろにダーシー氏で、どうでもいいことでAgatheとOliverは喧嘩したりつんけんしたりしながら、どうなっていくのか見え見えなのに、喜んで見てしまう。 こういうのばかり見ていると、Jane Austenに壊されたのはこっちの方だわ、って強く言いたくなる。
ふたりの仲が盛りあがっていよいよ、というところでFélixがパリからやってきてあらら、になったり、でもパリに戻ってのエンディングはやっぱり… ってなって裏切らない。最後、書店のイベントで、ほんもののFrederick Wiseman氏が朗読しているんだけど、あれなに? なんで? が気になって彼らの幸せなんてどうでもよくなってしまった。
ほぼぜんぶ、定番の定石で固められていて、なぜ、どうしてここでJane Austenなのかは(いつものように、決して)明かされないし、こんなの見ていたってぜったい恋愛は成就しないし恋愛上手になんてなれない、ってわかりきっているのに見てしまう。もうそういうのを40年いじょうやっている。誰に文句を言ったらよいのか? Jane?
明日から少しだけ夏休みに入る。あと3時間後に出るのにほぼ何もしてないわ。
7.24.2025
[film] Volveréis (2024)
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