7月12日、土曜日の夕方、BFI Southbankで見ました。
ぜんぜん追えていない今月の特集 - ” Re-introducing Dorothy Dandridge: The Cool Flame”からの1本。恥ずかしながらDorothy Dandridgeさんのことは殆ど知らなかった。
監督はAndrew L. Stone、MGMのB級海洋サスペンスアクションで、BFI National Archiveの35mmプリントでの上映。日本公開はされていない?
商船S.S. Berwindの船長が不審な死に方をして、Captain Rummill (James Mason)のところに後任船長のオファーがきて、あの船はきな臭いからやめとけ、という周囲の心配をよそに引き受けるのだが、船内ではHenry (Broderick Crawford) とLeroy (Stuart Whitman)の2人 - こいつら本当に悪そう - が船員を皆殺しにして棄てられた船を売っ払って金にしようと企んでいるのだった。
船には新船長の他にコックの妻で船内で唯一の女性となるMahia (Dorothy Dandridge)も乗りこんで、でもそんなのお構いなしにふたりによる皆殺しが始まって、作戦に協力しない若い船員を海にぽいって投げ捨てたり、やりたい放題の殺戮を始めて、最初は何が起こっているんだ? だったのが、いったん全員で逃げたふりをして戻って反撃しよう、って船長が沖に出たボートから泳いで船に戻ったりするのだが、この作戦なら最初から船内に隠れていた方が体力消耗しなくてよかったのでは? とか。
ものすごく雑にばさばさ殺したり殺されたりしていくB級の緊張感と弛緩(あんぐり)、”Die Hard”的な展開になるわけもなく、まったくヒーローのかんじがしないJames Masonがだんだん必死になっていく姿はよかったかも。Dorothy Dandridgeは、夫のシェフを簡単に殺されて、ねちねちセクハラされるくらいの出番だったが存在感はなかなかで、これもよかった。
Act of Violence (1948)
7月13日、日曜日の昼、BFI Southbankで見ました。 リストア版のUKプレミア、とのこと。
監督はFred Zinnemann、邦題は『暴力行為』。みんなが日曜日の教会に向かう時間に「暴力行為」なんかをみる。
冒頭、夜のマンハッタンで、足を引き摺って歩くJoe (Robert Ryan)がアパートの机の引き出しから拳銃を取り出して、そのままバスに乗ってLAに向かう。
LAで二次大戦の退役軍人のFrank (Van Heflin)は妻のEdith (Janet Leigh)と赤ん坊と一緒に幸せそうで、帰還した地元のヒーローとして称賛されていて、Joeは現地に着くとまず電話帳でFrankの住所と電話番号を確認して彼の自宅に電話して実際に自宅を訪れて、でもすれ違って会うことはできなくて、それでもJoeが執拗にFrankを狙っていることはわかる。
やがてJoeが自分を追ってきたことをFrankも知って、ふたりの逃げる/追うの駆け引きの中でナチス捕虜収容所にいたふたりが脱走計画を立てて実行しようとしたとき、Frankが仲間をナチスに売って、結果、隊は全滅して生き残ったのがJoeひとりだったことが明らかになる。
隠してきた戦地での過去をEdithにも知られて自棄になったFrankは地元のギャングにJoeを始末して貰おうとするのだが、やはりそんなことをしてはいけない、と思い直して…
帰還兵の心的外傷を扱った最初期の作品だそうだが、復讐に燃えて仇を追い詰めていって、追われる側も返り討ちにしようと悪あがきする構図とかは、西部劇のそれとそんなに変わらない - つまり開拓時代から卑怯者は卑怯で卑劣で、それは今でも何ひとつとして変わっていないよね。
それより(作られたのはこちらの方が後だけど)Nicholas Rayの”On Dangerous Ground” (1951)でも見られる追跡者としてのRobert Ryanの冷たすぎて底の知れない怖さが炸裂していて、とにかく怖いってば。
選挙の結果については、これまでと同様(外れたことなしの)絶望しかないのだが、勝ち負けの話にはしない。人を線引きして安っぽい憎しみや利益をダシに壁をつくって喜ぶようなダークサイドに堕ちた連中とは戦っていくしかないのだ。本当にふざけるな、しかない。
7.21.2025
[film] The Decks Ran Red (1958)
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