5.08.2025

[theatre] Dear England

4月26日、土曜日の晩、マチネの”Punch”の後で、National Theatreで見ました。

これも原作は”Punch”と同じJames Grahamなのでこの日はJames Grahamの日。書かれたのは”Punch”よりも前、初演も2023年のNational Theatreなのだが、今回の再演版は一部リライトされているという。

演劇を見る時は(映画も割と)どんな話なのか頭に入れないで見ることが多くて、この”Dear England”も”Punch”もそうで、見る前のイメージとしては、イキった愛国者寄りのスキンヘッドの青年が暴走して何かをしでかしてお国のせいにする(したい)ようなやつだと思い込んでいて、ちょっと苦手な方面なのでどうしたものか → 続けて見ちゃえばよいか、になった。結果、偏見はよくない、になることが多い。

始まってからメンズ・サッカーのお話だと言うことを知り、やばいな(興味ない)、になり、更に実在するプレイヤーたちの、彼らが活躍したイングランド・サッカーチームの話であることがわかり - どうしてわかったかというと、Harry Kaneの名前くらいは知っていたから。 英国の場合、サッカーの話題はお天気と同じくらい日常の話題になるネタで、仕事の挨拶でも昨晩のゲームはーとか、どこそこのサポーターでーとかふつうだし、駐在していてサッカー場にいったことがないのはどうしたものか(と思いつつもうどうでもよくなっている)。

演出はRupert Goold、2023年の初演版はLaurence Olivier Awardsを獲って、West Endでもロングランした後、National Theatreに戻ってきて、この後も英国各地をツアーしていくらしい。

舞台は楕円形で、そのカーブに沿うように白色の太く強めのライトが低め斜めの位置にぐるりと照らしていて、スタジアムのピッチが目の前に迫ってくるかんじが表現されている。

最初にイングランド・チームの選手が大勝負どころでのPKを決められずにチームも観客もがっくりする場面から入って、それを見た協会首脳陣はなんでうち(イングランド・チーム)はいつもこうなるのか根っこのところから変えないとダメなんじゃないか(←まずあんたらからな、って言いたくなるダメなじじい共)ということでコーチのGareth Southgateが着任し、メンタルを鍛えるコーチとして女性のPippa Grangeを招き入れ、選手も当時のチームひとりひとりを紹介してから、ワールドカップやユーロといった大一番のゲームで実際の(よい)変化として起こったことが再現されていく。今回の上演版も昨年のユーロの結果を反映したものなのだそう - どこが該当するのかちっともわからんが。

観客は楽しみながら大ウケしているのだが、本当に一部の人たちしか知らない - Harry Kane以外で知っていたのはBBCでサッカー解説をしているGary Linekerとか、政治家のTheresa May (痛々しい)とかBoris Johnson (ほぼ化け物扱い)とかくらい - そんな自分にもおもしろく見れるのは、国技と呼ばれるようなスポーツが、どうして国をあげての熱狂をもたらすのか、その成り立ちとか構造が滑稽なところも含めてわかりやすく示されているからだと思った。 作者も含めて”Dear England…”と呼びかけたくなる愛すべき何かがここにはあるような。

では、これと同じようなドラマ - 例えば「拝啓日本」のようなものを作れるだろうか? というのは考えてみるとおもしろいかも、と思った。 日本の場合、自分も含めて組み入れられている組織なり空気なりに対してよくないことを言ったり茶化したりするのは失礼だ、みたいな抑圧が働きがちなので、あまりウケないのではないか →いまの政治に対する態度などを見ても。 たかがゲームなのにね。

そういうのは抜きにして、ゲームみたいに楽しめる作品だった。改めて、偏見もって遠ざけていて悪かったねえ、って。

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