5.21.2025

[film] Desperate Moment (1953)

5月15日、木曜日の晩、BFI Southbankで見ました。

5月はここで、”Passion and All That Goes With It: The Films of Mai Zetterling”という特集があって、スウェーデン生まれで最初は女優として戦後のイギリス映画でも活躍し、60年代以降は映画監督として女性映画を中心にいろいろ作っていったMai Zetterling (1925-1994)の生誕100周年を記念した回顧特集が組まれている。自分にとってTom Cruise特集よりは見たいやつなので、がんばって追っているのだが、なかなかの数があって大変(どれもおもしろいけど)。

これは彼女が女優時代に出演したイギリス映画で、監督はCompton Bennett、原作はMartha Albrandによる同名小説(1951)。 BFI Archiveにある35mmプリントでの上映。

第二次大戦終了直後のドイツで、オランダ人でレジスタンスとして活動していたSimon (Dirk Bogarde)はイギリス兵を殺した疑いで終身刑を言い渡されて収監されていたが、亡くなったと思っていた恋人のAnna (Mai Zetterling)が生きていたことを知ると、脱獄して彼女の協力を得ながら自分は殺しに関わっていないことを証明できる戦時中の同僚を探して廃墟となったベルリンを彷徨っていく。

でも証言できる人物は同じ小隊にいた3人に限られていて、Simonが訪ねていくと殺されていたり、既に家庭があるので関わりたくない、って身を引くのもいたり、他方で脱獄囚である彼への包囲網も狭まっていって、追われながら追いかけていく – そして誰にも身の上をわかってもらえない時限サスペンスのスリルが”Desperate Moment”としか言いようのない緊張を生んで転がっていくのと、とにかく事態の進展(というのか後退なのか)と共に険しさと暗さを増してなりふり構わなくなっていくDirk Bogardeの必死さがよいの。

あとは、終戦後のベルリンの廃墟と瓦礫だらけの明暗のなかでの手探りみたいに道を越えたり建物に入っていったりする絵がすばらしい。あんななかで逃げた男を探したり、証人を探したり、たったひとりで逃げまわりつつも恋人と会ったり、想像しただけでぜんぶムリ、になる。


The Haunting (1963)

5月10日、土曜日の晩、BFI Southbankで見ました。定期でやっている大きい画面でクラシックを見よう、の枠で。

監督はいまCinémathèque françaiseで特集をやっているRobert Wiseで、大ヒットした“West Side Story” (1961)のふたつ後に、モノクロのこんな地味なのを撮っている。原作はShirley Jacksonの小説 - ”The Haunting of Hill House”(1959)で、Martin Scorseseは彼のホラーのオールタイムのNo.1にこれを挙げていて、1999年にJan de Bontが同じ”The Haunting”のタイトルでリメイクしている。邦題は『たたり』。

はじめにマサチューセッツにあるその屋敷に過去起こった禍々しい出来事 - 娘はずっとひとつの部屋から出ないまま生涯を終えたとか、家を継いだものは次々に首をつったとか – が語られてDr John Markway (Richard Johnson)はこれらの超常現象(としか思えない)の原因を探るべく調査団を組織して、屋敷に乗りこんでいく、という今となっては割とふつうのお化け屋敷設定ホラー。

メンバーには子供の頃にポルターガイストを経験したらしいEleanor (Julie Harris)とか霊能者だというTheodora(Claire Bloom)とか、なんで? って突っこみたくなる人選だったり、そのせいか彼女たちが部屋に入っただけでいろんな音が鳴ったり変なことが起こったり、それは屋敷に起因しているというより、彼女たち個人の問題なのでは、みたいに緩い態度でのらくらしている男性研究者(なの?ぜんぜんそうは見えないけど)に原因があるような。

亡霊や人の影が見えて、それが知っている人だったりしたらやはりそこに留まってしまうのかも、だけど、この作品のようにどこに位置してどういう建付けなのかよくわからない壁に囲われた部屋のなかで起こる超常現象はやかましい音も含めて明らかに「超常」なだけで、その見せ方はちゃんと怖いので夜中にこんなの起こったら泣いて逃げるしかないな、なのだが、それならやっぱり逃げちゃえばいいのに、なんで留まってがんばってしまったのか、その辺がずっと引っかかってしまうのだった。

Theodora - Claire Bloomの衣装はMary Quantので、お化け屋敷でそんなの着ても.. とか。


配送ミスだのなんだのが重なって注文してから3ヶ月くらい経っていた本棚(大)がようやくフラットに届いて、でも床などに積んであったのを並べてみたらあっというまに埋まってしまったので憮然としている。あと1年はどうにか保たせなければ。

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