5月10日、土曜日の午後、BFI Southbankで見ました。
”Magnolia” (1999)の後だったのでちょっと段差にくらくらした。
リリース20周年を記念したリバイバル公開で、全英中でやっていて、結構人が入っているらしく、公開も当初予定より延長されている。
フィルムの冒頭に監督Joe Wrightが出てきて、これまでとは違う新しいアプローチで原作を映画化してみたものです。改めて楽しんで頂ければ… というような挨拶がある。
原作はJane Austenの同名小説(1813) – 公開当時にも見ていたはずだが、確かに20年前の映画とは思えないきらきらに溢れていてびっくりして、戸惑うくらい楽しめてしまった。
これが古典の教養小説ぽく読まれてきたことを一切無視して、時代背景やしきたりについての説明もナレーションも一切ない。制作は”Bridget Jones's Diary” (2001)や”Love Actually” (2003)といった英国産rom-comで当時波に乗っていたWorking Titleで、脚本のDeborah Moggachもその辺は十分に意識していた、と。
昔昔の英国の田舎(時代も地名もどうでもいい)で、豚とか鶏とかいろんな家畜がいっぱい画面や彼女たちの足下を横切り、いろんな匂いが漂っていそうで、気候は気まぐれで雨も降れば泥まみれになるし、でも緑の季節がきたらその光はすばらしく眩しくて、その光のなかでいろんな恋やときめきが瞬いたり失望と嫌悪がじっとり崩れ落ちて貼りついたりする。 『高慢と偏見』なんて言われなくてもわかっているし、そんなことより好きな人と一緒になれればいいんだ、家のことなんてしるか(みんな大好きだけど)って。
家にいるのはMr Bennet (Donald Sutherland)、Mrs Bennet(Brenda Blethyn)と5人の娘たち – Jane (Rosamund Pike)、Lizzy (Keira Knightley)、Mary (Talulah Riley)、Kitty (Carey Mulligan)、Lydia (Jena Malone) がわあわあ仲よく日々楽しそうに暮らしていて、他方で娘たちの結婚 – どこの家の誰に「貰われる」のか、は一家の将来の暮らしを左右する大ごとなので、Mrs Bennetはばりばりに燃えている。 と、裕福な家のMr Darcy (Matthew MacFadyen)が近くに越してきた、というので更に前のめりになって止まらない。
こうして家に訪ねてきたり村の舞踏会だったりにMr Darcyは現れて、その容姿について娘たちはひそひそ言い合うのだが、彼は無口で高慢ちきなかんじで、Lizzyに対して“tolerable”だ、なんて言ったもんだから、おうおう言ってくれるじゃねえかって水面下の小競り合いが勃発し、互いを目一杯意識したいろんな投げ合いぶつけ合いがはじまる。その間にあまりかっこのよくない聖職者のMr Collins (Tom Hollander)がLizzyにプロポーズしてきたり、JaneとBingley (Simon Woods)の恋があったり、陰険なLady Catherine de Bourgh (Judi Dench)との対決があったり、これらはぜんぶ、でくのぼうで気がきかないMr Darcyに起因したものだ、ってLizzyは思いこみ、Mr Darcyはほぼなにも言わないでぼーっと突っ立っているばかりなので、ますますなんだあのやろうはー、って荒れていく。
聡明で気遣いもウィットも人一倍、お行儀なんかよりやられたらやりかえせのLizzyにとって、Mr Darcyは一家の天敵、疫病神のようなもの、ってぐるるる、だったのに、やがてそんなヤマアラシ状態がころりとひっくり返るのも彼女の目つきなどから見え見えで、その刻一刻の経過を追っていくのは、原作の小説を読んでいくのと同じくらいにくるぞくるぞくるぞ... の波が楽しくてたまらない… そしてその緊張と愉しみをはらはらと共に持続させていって、最後に爆発させるLizzy = Keira Knightleyの表情のすばらしいことったらなく - 原作ありrom-comの頂点と言ってよいくらいの。 と、こういうのを見たのは久々だったせいもあってかとても楽しめてしまった。Keira Knightleyの最高傑作と言って間違いないのではないか。
あと、姉妹の彼女たちも、改めて見るとみんなもう有名になっていて、ああこんなところに出ていたのかー、って。いまや全員いろんな映画でめちゃくちゃ強く成長していて、その起源にJane Austen Universeがあったなんて。
あと、Mr Darcyのむっつりは相手がLizzyだったからどうにかなったのであって、ふつうの男子がやっても愚かに見えるだけだよねえ、ってこの辺は漫画だけど改めて。
5.19.2025
[film] Pride & Prejudice (2005)
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