5.23.2025

[music] Daryl Hall + Glenn Tilbrook

5月19日、月曜日の晩、Royal Albert Hallで見ました。

客層はやはり老人ばかり。H2Oを最後に見たのは前世紀 – 88年の東京ドームでずいぶん長いこと見ていなかったし、たまにYouTubeで流れてくる”Live from Daryl's House”のクリップも悪くなかったし、なんといっても今回はGlenn Tilbrookを一緒に見れるのなら、ということで。 このふたりの間にはElvis Costelloという人もいたりするのだが、さすがに彼は現れなかった。

19:30にまずGlenn Tilbrookが出てきて、バックに6人もついたのでなんか豪華だな、と思ったらDalyl Hallのバックバンドそのまま、なのだった - アメリカからずっとツアーで一緒だったのは知らなかった。
彼のソロがほとんど、相変わらずギターは巧くて、Squeezeの曲は"Black Coffee in Bed"と"Tempted"と"Hourglass"くらい、でもDifford & Tilbrook (1984)から"Love's Crashing Waves"をやってくれたのはうれしかった(12inchシングルもってる)。

休憩のあとに、さっきのバンドと一緒にDaryl Hallが登場する - 帽子を深くかぶって、サングラスで顔はほぼ見えず、2曲目に”Maneater”、3曲目に”Dreamtime”をやった後に右手のグランドピアノに移動してずっと座ったまま歌う。 本来であれば客を掴んであげるパートのはずの”Kiss on My List”~”Private Eyes”~”Rich Girl”あたりは、全然声が出ていなくて、バックバンドのコーラスにどうにか絡めていく程度。ところどころで金ラメ金長髪の幽霊みたいなCharles DeChantが背後からゆらーって現れて見事なサックスのソロを聞かせる。 それくらいなので当然野次も飛ぶし、帰っちゃう人も結構いるのだが、「言いたいことはわかるよ」くらいに返してて、おそらく本人も/本人が一番よくわかっているのだろう。

全盛期のH2Oのなりふり構わずの懸命なパフォーマンス– 当時の若者たちのアティチュードからすれば滑稽なくらいの勢いで80’sのプラスティックなポップスや60’s-70’sのスタンダード・ソウルに正面からぶつかって汗まみれになっていくところが彼らの、Daryl Hallの魅力だったのに、だからこそ”You Make My Dreams”はあんなに跳ねまわれたのだし、"She’s Gone"も"Wait for Me"も”Everytime You Go Away”もあんなに切実に痛切に響いたのに、今回のあれじゃ場末のバーでじじいが泣きぬれているだけにしか見えない。

ここはオレの家(Daryl’s House)なんだから入ってきた以上は黙って聴け、なのだろうし、H2Oの話題を避けるかのように寄り添おうとするフィラデルフィア・ソウルも、滑らかなシーツとか真綿で優しく包んでおきつつ実は締めあげて束縛する、DV臭のするものが多い(気がする)のでそういう偏り(?)に沿ったものではあるのだろう。 John Oatsとの件も、詳細はわからないが彼のどういう気質が招いた事態なのか、これを見ると察することはできる。

アンコールでGlenn Tilbrookが出てきて、一緒に”Pulling Mussels (From the Shell)”などをやる。改めて思ったのは、この曲はChris Diffordのあの低い声が裏にいないとだめなんだわ、って。

最後は”You Make My Dreams”だったのだが、いまの彼にそれを言われても、おじいちゃんよかったね.. にしかならないのが虚しかった。

自分も含めたいろんな老朽化に伴い、こういうライブも今後は出てくるのだろう。あーあ(老害)残念、で終わらせるのではなく、(向こうもこちらも)なんでこんなことに、をきちんと振りかえる機会としたい。だってそれなりに時間をかけて真面目に大切に聴いてきたのだからー。


そういえば、Squeezeが昨年前座を務めたThe Whoのドラムスの件、あれはZakがわるいのでもPeteがわるいのでもなく、いまのThe Whoにきちんとしたベースプレイヤーがいないのが原因だと思うの。

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