12月15日、月曜日の晩、BFI SouthbankのRichard Burtonの特集で見ました。
これがBurtonの最後の映画出演作となった。
原作はGeorge Orwellの同名ディストピア小説(1949)、脚色と監督はMichael Radford、撮影はRoger Deakins(彼のドライで深みのある映像はすでに)。
はて、1984年にこんな映画あったかしら? って首を傾げていたら音楽:Eurythmicsって出てあああああ、あったあった(あのレコード盤。買わなかったけど)、になる。なんてしょうもない。
全体主義国家Oceaniaに暮らして、決して表にその姿を現さないBig Brotherに監視されながらthe Ministry of Truth(真実省)で歴史の改竄の仕事をずっとしているWinston Smith (John Hurt)が主人公で、彼が同じ省で印刷機の整備をしているJulia (Suzanna Hamilton)と知り合って親密になり、反体制活動にほんの少し手をそめてみたところで捕まって、実はそこらじゅうにスパイがいたことがわかって、彼を拷問して更生させようとするO'Brien (Richard Burton)もそのひとりで、要はどこにも行けないどうしようもないし、「思想」を初期化されてみんなまっさらの状態でぼーっと見つめあうしかないの。
John Hurtがとにかくすばらしいのだが、虚ろな目で感情を一切表にださずにそこにいる老人Richard Burtonの虚無もすごくて、ここでの彼についてはイントロで、Burton自身が戦時下にこの映画に出てくるような目をした兵士を沢山見て恐ろしかった、というのが出演の動機としてあった、と紹介されていた。今回の特集で見た”A Subject of Scandal and Concern” (1960)での侮辱罪で告発される側にあった彼とは立場的には対になっているねえ、と思った。
1984年、当時はディストピア、って反ディストピアも含めてただのイデオロギーじゃん、って笑って見に行かなかった(そういう時代もあったのよ)のだが、今となっては(あーら不思議)、国を挙げての歴史改竄、罪となる一線の解釈ずらしなんて、ごくふつうのおなじみの光景(アイテムによっては風物)になってしまった。少なくとも日本とアメリカでは。 「ディストピア」って言われても「は?」になるし、ナチスはよいこともした、って平気で言ようになったし、無知であることが恥でもなんでもなくなってしまった。関わりたくないし、でもきちんと関わらないと殺されてしまうかもしれない。 とにかく恐ろしい。
Look Back in Anger (1959)
12月15日の晩、↑の上映のあとに、BFIのRichard Burton特集で見ました。
35mmフィルムでの上映。邦題は『怒りを込めて振り返れ』。
わざと↑の”Nineteen Eighty-Four”にぶつけたようではないらしいのだが、少なくともBFI界隈では、この作品近辺がRichard Burtonの代表作と見なされているようで、↑のしおしおに枯れながらも特定層を自分の支配下に置こうとする乾物の執念と、溢れかえるあらゆる情念を溜めこんで漲って、漲りすぎてどうしようもなくなっていくこの作品の主人公(のAnger)に繋がるところは少なくないように思った。kitchen sink realismからdystopiaへ。
原作はJohn Osborneの同名戯曲(1956)、脚色はNigel Kneale、監督はTony Richardson。
本編上映前におまけとして、映画公開時にRichard BurtonとClaire BloomがBBCの番組にでてインタビューに応えている映像が流れる。ふたりともあたりまえのように真面目に受け応えしている。
工業地帯の屋根裏部屋に住むJimmy (Richard Burton)とAlison (Mary Ure)の若い夫婦がいて、Jimmyと一緒にマーケットでお菓子屋台をひいて商売をしているCliff (Gary Raymond)がいて、JimmyとAlisonは喧嘩がたえないのだが、AlisonはJimmyの子を妊娠していて、ふたりの暮らすフラットにAlisonの親友のHelena (Claire Bloom)が滞在することになって…
大きな怒りや事件が暴発して走り回るようなドラマではなく、その手前で意識無意識に置かれたそれぞれの壁 - 階級とか性差とか収入格差とか - を前に溜めこまれていく何か、とはなんなのか、それはなにかをどうにかしたら解消したりするものなのか、を真面目に考えようとしている。 ドラッグも抗争も洗脳もない地点から。
クリスマスの日は交通機関も映画館も止まってしまうので、昨年と同様、午後にSt Paul’s Cathedralまで歩いて行ってFestal Evensongでお祈りをした。どうかほんの少しでよいから、よい年を迎えられますように。
戻ってきてからTVでやっていた”Home Alone 2: Lost in New York” (1992)を見た。後半のおうちで二人組がぼこぼこにされるシーンは何十回見ても最高だと思う。
明日からはフィレンツェに行って、そこを起点にアレッツオ、シエナ、ラヴェンナなどを回ってお正月前に帰ってくる予定。
あと、昨日買ってきた新しいiPhoneへのデータ移行を6時間くらいやっていたが、アカウントとかパスワードとか、例によっていろいろ忘れまくっており、うまく動いてくれない。なので旅行には2台持って行くしかないのか..
12.26.2025
[film] Nineteen Eighty-Four (1984)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。