12月1日、月曜日の晩、BFI Southbankのメロドラマ特集で見ました。
原作はFannie Hurstの同名小説 (1933)。Frannie Hurstは、女性とアフリカン・アメリカンの地位向上に貢献した活動家 - 女性が旧姓を保持できるようにしたLucy Stone Leagueの最初のメンバーでもあった。
監督はDouglas Sirk、プロデュースはRoss Hunter – なので、いつものように撮影はRussell Metty、音楽はFrank Skinner。Sirkの最後のハリウッドでの監督作となった。 邦題は『悲しみは空の彼方に』。
女優を目指しているシングルマザーのLola (Lana Turner)が混雑するコニーアイランドのビーチで娘のSusieを見失っていたところで、黒人のAnnie (Juanita Moore)とその娘で一見黒人には見えないSarah Janeと出会って、やはりシングルマザーで、家と仕事を探していたAnnie母娘をメイドとして自分のアパートに住ませることにする。
Lolaはコニーアイランドで出会った駆け出しの写真家Steve (John Gavin)に少し惹かれつつ、お芝居の世界でのエージェントのLoomisや劇作家のDavidとの出会いが彼女を成功に導いて、そこから10年後、彼女はブロードウェイの人気スターとなって、Davidからのプロポーズを断り、それでも彼女の地位は揺るがないし、Annieとの仲も変わらず、メイドだけでなく日々の相談相手としてもずっと一緒にいる。
でもAnnieの娘のSarah Janeは母が黒人だと知れたら突然白人BFに殴られたり、黒人として見られてしまう自分が嫌で家出をして、Annieは体を弱らせて…
Imitation of Life (1934)
12月2日、火曜日の晩、BFI Southbankのメロドラマ特集で見ました。
↑と同じ原作が出たすぐ後に、John M. Stahl監督によって映画化された作品で、脚本にはWilliam J. Hurlbutの他にアンクレジットでPreston Sturgesの名前がある。 こちらのバージョンの方が原作にはより近いのだそう。
Bea Pullman (Claudette Colbert)はやはりシングルマザーで、土砂降りの日、彼女のアパートに求人広告を読み違えたDelilah(Louise Beavers)が訪れて、浴槽におちたBeaの娘Jessieを助けてあげたりして、母娘ふたりだと大変だろうし、Delilahと彼女の娘Peolaが一緒に住んでBeaの家事を助けていくことができたら、って暮らし始めたら、Delilahの作るパンケーキがとんでもなくおいしくて、それならこれをビジネスにしよう、と店舗を借りてリフォームして、その場で焼いたのを食べてもらうレストランにしたらこれが当たって、Beaはお金もちになる。
女優業とパンケーキ屋と、どちらもぜんぜん違う世界をとりあげつつ、女性(シングルマザー)が、自分で仕事を見つけてやっていくことがどれだけ大変なことか、そんな彼女を支えたのが黒人のシングルマザーで1934年版ではパンケーキのレシピを持っているのはDelilahなのにフロントにいるのはBeaだったり、両バージョンのAnnieの娘Sarah JaneとDelilahの娘Peolaは自分のせいでもなんでもないのに、肌が白くて黒人に見えない、というだけで酷い差別を受けたりする。
こんなふうに登場人物や展開をいくら並べてもこのストーリーが持つ渦の強さ、業の深さを表わすことはできない。その根底にあるのは原作者の怒りなのだと思う。
Imitation of Life – というとき、”Imitation”ではない”Real”なLifeはどこにあるのか?
そのありようはLola/Bea, Annie/Delilah, Sarah Jane/Peola, Susie/Jessieでそれぞれ違う。Lola/Beaは裕福な庇護者の男性なしではのし上がれかなったし、Annie/DelilahはLola/Beaがいなかったらどこにも行けなかったろうし、Sarah Jane/Peolaが生きるためには親の存在を消し去らなければならなかったし、Susie/Jessieは母に寄ってきた男を自分のものにしようとする - ここの母親が苦労して勝ち取った男を娘が横取りしようとする構図は”Mildred Pierce“ (1945)にも出てくる。 “Imitation”と”Real”の境界とか構図を決めているのは男性優位と人種差別を基軸に成り立っている白人男性中心の世の中でそんなのどう考えてもおかしい。丸ごとImitation ではないか、と。
そしてラスト、Annie/Delilahの葬儀が荘厳に執り行われてみんなが泣き崩れることの皮肉。”Life”が失われてからようやくみんなに認知される/だからこんなの”Imitation”ではないか、という…
(そして改めて邦題 - 『悲しみは空の彼方に』はだめだと思った。「彼方」にしちゃだめなんだよ日本人)
Sirk版だけ見ていたらたぶん見えなかったであろうことが1934年版を見たらよくわかった。
12.09.2025
[film] Imitation of Life (1959)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。