12月4日、木曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
NYFFでプレミアされてLFFでもかかっていた新作。
これの上映の前には、ICAで始まっていたLuc Moulletの特集から80年代の短編3つと、上映後に監督とのオンラインでのQ&Aがあった。 短編はどれもめちゃくちゃおもしろかった。
監督はBradley Cooper、30年来の友人であるWill Arnett(この上映の前に彼の1時間のトークがあったが、そちらは行けず)を主演に、脚本はBradley Cooper, Will Arnett, Mark Chappellの共同、Will Arnettが話していた英国のスタンダップ・コメディアンJohn Bishopの話を基にしているそう。撮影は”A Star is Born” (2018)~”Maestro”(2023)の頃からのMatthew Libatique。 ショービズの世界に生きる主人公を追ってきた過去の作品とはちょっと毛色が違う。
10歳の男の子がふたりいてずっと一緒に過ごしてきたAlex (Will Arnett)とTess (Laura Dern)の夫婦は離婚に合意して、AlexはNYのダウンタウンの殺風景なアパートに引っ越して一人暮らしを始めている。友人で俳優のBalls(Bradley Cooper) – もじゃもじゃ - や妻のChristine(Andra Day)にも余りちゃんと話していないし、健在で仲のよい両親はそのことを知っているけど、面と向かって話そうとはしないし、子供たちも多分知っているけど、こちらも同様、自分たちが間に入ることで家族の溝を広げてしまうかもしれないことをわかっている。そして、そもそも当事者たちですらきちんと議論して決着つけて次に、ということをやらずに互いに目をそらしているような。“Marriage Story” (2019)でばりばりの訴訟担当弁護士をやっていたLaura Dernの姿とはぜんぜん違う。
互いが嫌で、一緒に暮らして顔を見るのも嫌なのでとにかく別れる、がまず第一にあった“Marriage Story”ではなく、別れた後にどこにどう踏みだしたらよいのかわからないし、自信が持てない、それを認めたくないので互いに顔を合わせないようにして避けまくっている、というかんじ。
そんなある晩、酔っぱらってどん詰まりの状態でコメディをやっているクラブの前にきたAlexは、なんとなく中に入ろうとしたら$15って言われて、それは払いたくなかったので、出演者の方(Freeで入れる)にサインアップして、とりあえず並んで自分の順番が来たので舞台に立ってなにやら喋ってみる。まったく用意していなかったのでうけるうけない以前にぜんぜんダメだったのだが、彼は何かの光とか感触をそこに見出してしまったらしく、空いている時間にネタを書いてみたりひとり練習してみたりすると、2回めのステージはそこそこうけて、常連たちからもやるじゃないか、とか言われて有頂天になっていく。
話しはそこからコメディに目覚めて、コメディアンへの道を歩んでいくAlexの姿を追う..わけではなく – それでもおもしろくなったのかもだけど - 元オリンピックの女子バレー選手だったTessのコーチへの復帰というお話しも絡まって、やがてTessと彼女の新彼(候補)がふたりでコメディクラブに入ったら、そこそこの人気があるらしいAlexの漫談を聞くはめになる、とか。しかもネタはふたりの末期の性生活に関する一方的なもので… Laura Dernが“Blue Velvet” (1986)での「あの顔」と同じくらい絶妙の表情を見せてくれるので、これだけでも。
監督の過去作のように何かを極めて頂点に立った主人公の姿(~その後)ではなく、そこに向かって歩き出す彼らでもなく、「それ」が見つかるか見つからないか - “Is this things on?” の微妙におどおどした状態を行ったり来たりし続ける彼らの彷徨いを描いて、賞を貰えるような納得できる落としどころとか完成度とかからは遠いやつなのだが、とてもよいの。
ラスト、子供たちがずっと練習していたQueenの”Under Pressure”が学芸会で披露されて、そのたどたどしい刻みが空に昇っていって、そこに… (ここだけでも)
あと、出てくるわんこが、どれもすごーくかわいいので、犬好きはぜったいに見たほうが。
12.16.2025
[film] Is This Things On? (2025)
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