8月30日、土曜日の午後、Picturehouse Centralで見ました。
原作はWarren Adlerによる“The War of the Roses” (1981)、これを元にしたMichael Douglas & Kathleen Turner主演、監督Danny DeVitoの同名映画(1989)のリメイク、だとしたらおもしろくなるかも、と思った。
監督はJay Roach、なのだが脚本がYorgos Lanthimosと仕事をしてきたTony McNamara、ということでこの取り合わせも含めてだいじょうぶか... にはなったが。
Ivy (Olivia Colman)は駆け出しのシェフで、Theo (Benedict Cumberbatch)は新進の建築家だった頃にイギリスで出会って恋におちて結婚して、ふたりでアメリカ西海岸に渡って子供たちも育って、Ivyは浜辺に小さなシーフード(蟹)レストランを開いて、Theoは彼のシグネチャーとなるMuseumの建立を見届けたところ、まではすべてがきらきら輝いていたのだが、でっかい台風が来て、彼の建物はみんなの見ている前で粉々に崩れ落ち、他方で同じ頃Ivyのレストランにたまたま避難していた高名なフードクリティックが彼女の料理を絶賛したことから、彼女はたちまちスターシェフの仲間入りをしてしまう。自身の建築が崩れていく前で罵詈雑言を吐いて地団駄を踏む動画を世界に拡散されたTheoは一瞬ですべてのキャリアを失い、翌日からは家事とふたりの子供の教育に専念することになる。
最初のうちは互いを思いやったり手伝ったりしていくものの、明らかに不健康に腐っていきそうなTheoと、彼が体育会系のばきばきに鍛えあげてしまった子供たちの姿を見たIvyは、海が見える高台に自分たちの夢の家を作ろうって彼に設計を任せて、彼は建築家としての夢を存分に発揮してすべては元に戻ったかに見えたのに、友人たち - Andy SambergとかKate McKinnonとか明らかにやばい面々 – とのパーティで改めて壊され崩されて、ふたりの仲は修復不能な地点にまで行ってしまう…
天災をきっかけに運命が二分されて一方は天に昇って一方は底に転がり落ちていく、のはわかるのだが、このドラマでは明らかにTheoの方が病んでいって、Ivyがそれに我慢できなくなったような描かれ方で、それでよいのか。互いの関係の根深いところに許しがたい要因が芽吹いて、それはふたりがふたりでいる以上どうすることもできない致命的なやつだった(ので殺しあう。しかない)というのがオリジナル版の孕んでいた凄みだったと思うのだが、そこが仕事 - 家事と育児のバランスの崩壊、という現代的なテーマの下で再構成されてしまった結果、つまんなく薄められちゃったのではないか。
なのであの最後はがっかりだったかも。Olivia ColmanとBenedict Cumberbatchが殺し合うなんて、絶対すごいところ、行きつくところまで行ってくれると思ったのになー。
Another Simple Favor (2025)
8月23日、土曜日の何時頃だろ、日本に向かう機内で見ました。
“A Simple Favor” (2018)からの、監督もメインキャストもストーリーも引き継いでの真っ当な続編。
あれから5年、Stephanie (Anna Kendrick)は人気vlogger & 素人探偵として本まで出す人気者になっていたが、彼女がネタにしていたEmily (Blake Lively)が控訴審でなぜか仮釈放され、イタリアの大金持ちの一家 – なかみはたぶんマフィア - と結婚する、カプリ島で式をあげるのでメイド・オブ・オナーとして来てほしい、という。これが”Another” Simple Favorなのだが、こんなの誰がどうみても憎たらしいStephanieを島に呼んで殺してやるからね、っていう誘い以外の何ものでもないのに、なんでStephanieはのこのこ寄っていっちゃうのか。そしてやっぱりばたばたと殺されていく大勢の人たちと、容疑者として追われることになるStephanieと。やがて明らかになるEmilyの家族の謎、というか不思議.. まだまだ出てきそうな気がする。 次は”Alternate Simple Favor” だろうな。
Love in the Big City (2024)
8月27日、水曜日の何時頃だろ、ロンドンに戻る機内で見ました。
自由で強くてかっこいい女の子Jae-hee (Kim Go-eun)と寡黙で何かを抱え込んでいる男の子Heung-soo (Noh Sang-hyun)の長い歳月に渡る友情の物語で、Heung-sooはゲイなのでJae-heeとの間で恋愛関係には発展しないのだが、常にお互いのことを気にしている。 昔からずっと続いていく(とそれぞれが勝手に思っている)ふたりの(面構えがすてきで)無頼な関係に対する、流れていってしまう時間、変わっていってしまうあれこれに対する切ないところも含めた年代記をBig Cityの物語として置いて、ちょっと長いし(でも長さが必要なことはわかる)、漫画みたいにくさい台詞もいっぱいあるのだが、なんか悪くなかった。
9.05.2025
[film] The Roses (2025)
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