8月29日、金曜日の晩、Curzon Bloomsburyで見ました。
これも見事な猫映画で、主人公はぼろぼろになりながらも猫のために生きようとする、そういう点でも似てい… 。
原作はCharlie Hustonの同名小説 (2004)で脚本も彼が、監督はDarren Aronofsky。キャストはなにげにすごい。
1998年、まだツインタワーが見えるNew YorkのLower East Sideで、Hank (Austin Butler)はお気楽なバーテンをしていて(当時あの辺にあったバーの再現度合いがすごい)、MLBのSF Giants - ボンズがいた頃の – の熱狂的なファンで、彼自身も野球選手だったが、痛ましい事故によりキャリアを断たれたことが後でわかる – 彼と電話(主に固定電話の留守電)でやりとりする母親とは最後に必ず”Go Giants!”でしめる。
彼がアパートに戻るとモヒカンパンクの友人Russ (Matt Smith – こないだのフォーク・ホラー”Starve Acre”ではゴス系の長髪だった) が父が倒れたのでロンドンに戻る、その間の猫の世話を任されて、軽く受けたらその後にロシア人のやくざたちがやってきて一方的にぼこぼこにされて気を失い、恋人の救急救命士のYvonne (Zoë Kravitz)に救われて病院のベッドで目を覚ますと腎臓を失っている。
なにがなんだかわからないままNY市警のRoman (Regina King)に連絡を取り、彼女にいろいろ教えて貰うと、Russはハシディズム(ユダヤ人)の悪名高い兄弟に絡む麻薬の売人をしていて、その金をどこかに隠してて、ロシア人たちが探しているのはその隠し場所の鍵であるらしい。 どうにか鍵を見つけてNYに戻ってきたRussと隠し場所を確認したら今後はHankがその鍵をどこかに失くして… と、全体としてはよくある巻きこまれて逃げ回って絶体絶命、味方だと思っていたら実はそうではなかったり、形勢が二転三転しつつも全体としては逃げても逃げても痛めつけられ散々な目にあっていく系ので、バイオレントな描写もいっぱい、彼のまわりの人々も容赦なくどんどん殺されたり死んだりしていって、Hankはその度にめそめそするのだが、一発逆転はあるのか、盗塁は成功するのか、みたいな。
容赦ない暴力が支配する世界に放り込まれ、悲惨な事故によってスポーツへの道を断たれた若者はどうやって突破口を見いだすことができるのか、やっぱりスポーツ的な機転とか反射神経の話になっちゃうのか。Austin Butlerがあまり体育会系の強さや獰猛さを持ち合わせているように見えない(←偏見)ところがちょっと。“The Bikeriders”(2023)の時にもそれは思ったのだがー。(子犬みたいにめそめそしているのが実にサマになる)
YankeesでもMetsでもなくSF Giantsである、という一点がどこかで効いてくるのか、と思ったがあまり関係なかった。ルーツを異にするギャングたちにとってはどうでもよく、そもそも通用するわけがない、というオチでよいのかしら。
NYのLESのぼろくてやばい佇まいに加えて、Flushing Meadows ~ Shea Stadium ~ Coney Islandまで、更にはユダヤ人コミュニティからロシアのサパークラブまで、地味できつめなNY暮らしの諸相を押さえたNYの裏通り映画としてはよくできているかも。憧れの高飛び先としての楽園(Tulum)まで込みで。
音楽はIdlesが全編を書いているが、Smash MouthとかSpin DoctorsとかSemisonicとか懐かしいのもちょこちょこ聞こえてくる。もっといろいろ流してくれてよかったのに。
しかし、最後に流れたあのバンドのあの曲には吹きだしてしまった。確かにその通りの曲ではあるのだが、これを荒れまくった犯罪映画のラストに持ってくるのかー、と。
9.01.2025
[film] Caught Stealing (2025)
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