9.21.2025

[film] Downton Abbey: The Grand Finale (2025)

9月12日、金曜日の夕方、Curzon Bloomsburyで見ました。
公開初日だがそんなに入っていないし、すごい宣伝をしているわけでもない。そのうち入ってくるだろうから気にしない、なかんじで堂々としてる。

“The Grand Finale”というタイトルからもわかるように、たぶんこれで終わりの。これまでもずっと「もうこれで終わり」を言い続けてきた気もするが、Dame Maggie Smithの死があり、戦争の時代に入ったらムリ、というのもあったのか。サザエさんみたいに永遠に続くもんだと思っていたのに。

監督は前作の”Downton Abbey: A New Era” (2022)と同じくSimon Curtis。しかし”A New Era”って言った3年後に“The Grand Finale”って。パチンコ屋じゃないんだから。

冒頭、1930年のロンドンでGuy Dexter (Dominic West)主演でNoël Coward (Arty Froushan)作の”Bitter Sweet” (1929)を上演していて、バックステージでRobertたちはNoël Cowardと会ったりする。前作ではサイレント映画の制作がサイドストーリーとしてあったが、今回はそれがミュージカル、というかNoël Cowardになっている。後半、彼があんなに前に出てくるとは思わなかった。

それに続けて、王室のメンバーが来るような格式の舞踏会に来ていたLady Mary (Michelle Dockery)、the Earl of Grantham - Robert (Hugh Bonneville)、the Countess of Grantham - Cora (Elizabeth McGovern)は法的に離婚したLady Maryが王族のやってくる宴に同席することは許されない、といきなり退場を命じられて社交界がざわざわするのと、ダウントンの方にはLady Granthamの弟のHarold (Paul Giamatti)と彼の財務アドバイザーというGus (Alessandro Nivola)がアメリカからやってきて、大恐慌は乗り切ったとか言っているのだがどうにも怪しい。

Maryは滞在していたGusと酔っ払って寝てしまったりするのだが、その辺から雲行きが怪しくなり、やがてHaroldがGusに騙されてダウントンの資産の大部分を投資で失ってしまったこととか、そのためにロンドンの屋敷を売るしかないかもとか、Noël CowardとGuy Dexterがダウントンにやって来るというのでみんなで張り切ったりとか、郡のお祭りで堅物のSir Hector Moreland (Simon Russell Beale)と女性たちが対立したりとか、Daisy (Sophie McShera)が料理長に昇格したりとか、四方八方てんこ盛りで、結末は代が替わってMaryがダウントンの新たな当主になって、Violet (Maggie Smith)の肖像がそれを見守る、というそれだけなのだが、ものすごくいろいろ詰めこんであって、危機が訪れてもぜったいどこかから誰かが現れてどうにかしてくれる、という魔法の館。 Maggie Smithが生前何度も語っていた「長すぎるのよ… 自分がなにをやっているかぜんぜんわからないのよ…」と途方に暮れていた状態は正しく維持されている、というべきか。

こういう家族一族を描いたドラマで、みんなで一丸となって歯をくいしばってがんばって生きた、みたいのが死ぬほど嫌いなので、ダウントンの各自が自分の持ち分をこなしてたらどうにかなったよ、っていうのがよくて、それは究極には家父長制か階級制か、みたいなところに行くのかも知れず、どっちも嫌だけどドラマとして見るなら断然こっちかも。ほぼ関係ないし。

おもしろかったのはロンドンのお屋敷を売るというのでRoyal Albert Hallの近くのフラットを見にきたRobertとCoraが屋内の物音を聞いて、「あの音はなんだ? ひとつの建物の中に別の知らない家族がいるということか?」ってびっくりしたように言うところ。

でもやっぱりこれで終わりって勿体なくない? この一家がどうやって戦争の時代を乗り切ったのかって、やっぱ見たいよねえ。

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