9.12.2025

[film] Railway 200: Reels and Rails

9月2日、火曜日の晩、BFI Southbankで見ました。

映画上映もあるが、どちらかというとお祝いイベントで、英国の鉄道200周年を記念して、この200年の間、130年くらい前に出てきた映画がどんなふうに関わってきたのか、いろんな短編やプロモーションフィルムを見ながら、歴史家のTim Dunn、BFIアーカイブのドキュメンタリー部門キュレイターのSteven Foxonのふたりがいろいろ掛け合いしながら解説してくれる。約2時間とあったが、実際には2時間半くらいやっていた。

列車も車も飛行機も、乗り物には特に興味があるわけではなくて、型とか技術とかもどうでもよくて、ただそれがレールの上を走っていく映像を見るのは好き(酔わないから?)で、走っているだけでなんかおもしろいぞ! ってなったのはJames Benningの”RR” (2007)あたりからだと思うが、英国にきて、この国の映画最初期のアーカイブを見ていくなかにも列車の映像が結構あったので、列車を撮ったり見たりが好きな人は多いんだろうな、と思って、そういう映像をまとめて見れるよい機会になった。 で、実際ものすごくおもしろかった。

最初はクリップのように短いフィルムを沢山、なにかのお祭りで当時の蒸気で動く列車が山車のように列をなして、いろんな格好の人がそれに乗っているのとか。すべての列車が外観も含めてまるで違っていて、解説の人は結構興奮していたが、あれだけいろいろあったのが/のに、どうやって今の形になっていったのか、とか。

一通りの初期鉄道を紹介した後に、いろんな短編を見ていった。

Night Mail (1936)

24分のドキュメンタリー。
General Post Office (GPO)のFilmユニットが制作したもので、客を乗せずに夜の間に郵便の集配信をする列車とそこで働く人たちの姿を追っていく。もうこの世界では有名な古典らしいのだが、ロンドンのユーストンを出て、グラスゴーを抜けてエジンバラの方に向かう列車が、どんなふうに各地の郵便袋を拾って、車内で人が仕分けして、どんなふうに袋ごと配って置いていくのか、を走りながら見せてくれておもしろいったらない。電子メールの前にはここまで人力でやる仕組みが出来あがっていたのかー (オフィス内にはシューターとかあったしな)、とか。

デジタルのいろんなのよか、例えば走行中の列車から郵便袋を引っかける仕掛けを最初に考えた人たちの方がよっぽどイノベーティブな職人だったのではないか、って思ったり。

これの最後の方に詩のようなものが朗読されて、それがバックの音楽も含めて見事に韻を踏むまるでラップのようなやつで、なにこれ? と思ったら詩を依頼されて書いたのはW.H. Audenで、音楽は当時22歳だったBenjamin Brittenが注文をうけて作ったそうな。映像に合わせるべく相当細かく言葉を切ったり貼ったりしていったその苦労の経緯がWikiにあった。えらく渋くてかっこよくてびっくりした。

あと、この映画に出てくるユーストンの駅の構内には、まだメール配送をしていたこの頃の名残りが残っているって。

Locomotion (1975)

続いて鉄道誕生150年の記念に作られたGeoffrey Jonesによる15分の短編。
蒸気機関(Locomotion)の発明から当時の先端電車まで、フォルムの不思議を追いつつ、どうやって技術の革新を成し遂げ、エリアと乗客のベースを広げて発展していったのか、を実験映画ふうに描いて、かっこよい。あまりにかっこよすぎて、今のぼろぼろの地下鉄のイメージとのギャップをどう見たらよいのか、とか。音楽はやはりぜんぜんそう聴こえないSteeleye Spanが。

Overture: One-Two-Five (1978)

時速125mph(時速201キロ)で走る(当時)最新鋭の都市間高速鉄道を宣伝したフィルム。台詞はなくてDavid Gowの音楽のみ。繰り返しになるけどこの問答無用の落ち着きはなんなのだろうか。進化とか発展を素朴に信じることができた時代の - ?

British Rail Corporate (1988)


“Chariots of Fire” (1981) - 『炎のランナー』で、英国にオスカーをもたらしたHugh HudsonとVangelisのコンビが作ったCM作品。 これもきらきらしすぎていて冗談にしか… 

日本の鉄道もそれなりの伝統はあるのでこういうドキュメンタリーはあるのだろうが、日本のってどうしても「思いを乗せて」、みたいな情緒的なものになりがちな気がする。今回見たのはどれもこの機械すごいだろー、でしかなくて、さすが産業革命の国(よくもわるくも)、って思った。

あと、よくわかんないのだが、英国ではOvergroundとUnderground (地下鉄)って別扱いなのだろうか? とか、ストにやられた4日間を振り返りつつ。


911の日でした。忘れないように。
ここ数年思うのだが、あの時と比べて、はっきりと世界は悪くなっているよね。規模とか件数の話ではなくて。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。