9.08.2025

[theatre] Till the Stars Come Down

8月30日、土曜日の晩、Theatre Royal Haymarketで見ました。
もとはNational Theatreのプロダクションで、評判よかったのでWest Endで再演になったもの。原作はBeth Steel、演出はBijan Sheibani。
ステージ上にも客席が設けられていて、彼らは披露宴の賓客扱い、なのだと思う。

ある家族の結婚式〜披露宴の一日のあれこれを花嫁側の家族 - 女性が多く & みんな強い - を中心に追っていく。お葬式と並んで下世話でしょうもない内輪の愚痴や醜聞ネタに溢れかえり、でも思い当たるところもいっぱいなので、そうだよねー、とか場合によってはもらい泣きしてしまったりする(作る側としては)安全ネタでもあるのだろうが、この舞台はあれこれ豪快にぶちまけつつも、タイトルが指し示すような宇宙的なスケールで迫ったり飛ばしてくれたりする。翌日にはきれいさっぱり忘れてしまうのかもしれんが。

舞台は炭鉱のある(あった、なので生活は楽ではない)マンスフィールドの町で、Sylvia (Sinéad Matthews)がポーランド人のMarek (Julian Kostov)と結婚する蒸し暑い夏の日。Sylviaは三姉妹で、姉妹のMaggie (Aisling Loftus)とHazel (Lucy Black)と一緒に朝から身支度だなんだのてんやわんやで、こんなんでどうすんのよまったくもう! になったあたりで真打ちのように叔母のCarol (Dorothy Atkinson) - なんでも首つっこむのが大好物 - も登場して、とにかくこの暑さはなんなのよ! って朝からパンツが飛ぶような - ほんとに履いてたやつが飛んでくる - 大騒ぎになっている。

でもそういう喧騒から少し離れて、スペースシャトルの模型を手にして宇宙を夢見ている小さい姪っ子もいる。結婚するのなんかより宇宙に行ってみたいな、って。

女性たちのグチや軽口、噂話あれこれはかつてどこかで聞いたことがあるような、具体的な家族・親族構成を知らなくてもどの辺のあれか、想像がつくようなインターナショナルなものばかりで、ここに新郎がポーランド人であることからくる移民の話、さすがにヘイトまではいかないものの格差や階級起因の差別の話も絡まってバラ色の、夢の結婚生活、明るい将来について語るのは注意深く避けているような。

それでも真ん中のふたりは好きになったから、そういうのを一緒に乗り越えるのだ、ってことで結婚するのだし、だからとにかくめでたいじゃないかみんなで祝ってあげようよ、って感動的に盛りあがったそのピークで、上からばっしやーん、ってタライぶちまけの雨がきてずぶ濡れになって1幕目が終わる。

2幕目は最初からミラーボールにディスコのどぅどぅの耳鳴りが夜通しずっと鳴っているパーティーで、もう聖なるセレモニーは終わったので後は呑んで歌って踊って騒ぐ、というより恥も欲もまるだしで各自やりたいようにやる… ってなるとこれまで背後で割と地味でおとなしめだった男性側の方からもあれこれやばいのが出てきて罵り合いいがみ合いどーすんのこれ… になっていく。

ここまでくるとさすがに婚姻の意味とか、家族であることの理由とかまで考えてしまわないでもないが、そういう謎や神秘が、星が降ってくるくらい空に溢れかえっていること、そのなかを毎日毎日くるくる自転しながら抜けていっている地球のことなどを考えておくと、割とどうでもよくなれるのかも - わからんけどしらんけど - みたいな突き放した目線もあったりしてよいかんじ。 少なくともよかったよかった幸せになりいな、みたいな押し付けがましい年長者の嫌らしい落着感からは距離を置こうとしているような。

結婚モノ、というより家族ドラマとしてよくできていると思ったので、彼らの1年後とかを見てみたいな、って思った。

あと、これを毎日毎晩ずっと演じている女性たち、すごいなー、って思った。


皆既月食の時間はBFIで映画見ていて見れなかった。どっちみち雲で見れなかったらしいが。
それより帰ろうとしたら地下鉄のストが始まっていて、とってもめんどうくさかった。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。