9.17.2025

[theatre] Good Night, Oscar

9月6日、土曜日のマチネをBarbican Theatreで見ました。

原作はDoug Wright、2022年にシカゴで初演され、翌年ブロードウェイに来て当たって、主演のSean HayesはTONY AwardsでBest Leading Actor in a Playを受賞して、今回のLondon公演でも彼がそのまま主演している。演出はLisa Peterson。 休憩なしの1時間40分。

1958年、NBCで放映されていたThe Tonight Showで、ホストのJack PaarがゲストにOscar Levantを呼んだ際に裏で起こっていたどたばた(とても本物ぽいがこのエピソードはフィクション)を描いたバックステージもの。

アメリカのトークショー – 今だとCBS (はもうじきなくなっちゃうみたいだけど)やNBCで夜の23:30頃から1時間くらい、ホストは今だとStephen ColbertとJimmy Fallon、ひとつ前だとDavid LettermanとJay Lenoとか、この舞台の時代だとJohnny CarsonやDavid Frostなどがいて、ゲストが2~3、アトラクションみたいのがあって、最後に音楽ゲストが歌ったり演奏したり、ハウスバンドもいて、寝る前のだらだらした時間に丁度よい娯楽を提供してくれるもので、番組によってはホストとの相性がよくて常連になるゲストとか企画もあって、これって十分にアメリカン・カルチャーの一翼だと思う(イギリスにもあるけど、あまりおもしろいと思ったことはない。のはなぜ?)。 TVがこのような番組の可能性を模索していた最初期に起こった - 起こっていてもおかしくなかったエピソードを綴ったもの。

Oscar Levant (1906-1972)については、”An American in Paris” (1951)でも”The Band Wagon” (1953)でも、脇にいるけどなんだか目について離れなくなるピアニストとして、名前は知らなくてもあああの!ってなる人、だと思う。

舞台は50年代のモダンな家具で整えられたTV局のドレッシングルームで、これが後半になると放送スタジオやステージに伸び縮みしたりして変わっていく。 NBCがLAで(西海岸発として最初に)放映するショーで、Jack Paar (Ben Rappaport)はOscar Levant (Sean Hayes)をゲストに呼ぼうと準備を進めていたが、オンエア直前になって彼が精神病院に入院していて薬を飲んでいることを知る。(生前Oscarは病気があることを公言していた)

それを知ったJackの上にいるNBCの幹部はOscarの出演をなんとしても阻止しようとして – 視聴者が寝る前に落ち着いた時間を過ごしてもらうのが番組のコンセプトなのにそんな病人を – って結構危ういことを言ったりする - でもどうにかして出演させたいJackと、Oscarを精神病院に入れて、でも心配になって見にきた妻June (Rosalie Craig)、使いっ走りの番組のAD(なのかな?)の若者、そして薬の飲み過ぎでぐったり動けなくなったOscarを診る医師などが絡んで騒ぎの輪が広がっていく。

後半、見切りで番組が始まって、明らかに具合がよくない、よれよれして綱渡りで、でもそれなりに笑えてしまうOscarとJackのトークを観客全員が見守るようにして見た後に披露されるSean Hayes自身によるスタンウェイ(舞台のスポンサー)のグランドピアノの爆発的な演奏 & すばらしくよい鳴りで大喝采になって、確かに演奏は見事なのでうおぉぉーってなるのだが。

結果おもしろければ(事故さえ起きなければ)、と芸と芸人を消費しようとするTVの傾向はこの頃からすでにあったのだなー、と思って、これはお芝居なのでわからないでもないけど、それでも終わったあと、ここにタイトルの”Good Night, Oscar”を被せてみると、ちょっと複雑なかんじにはなるかも。あと、舞台セットも含めてとても西海岸的な、よい意味での寛容さとわるい意味での放置する冷たさが同居していて、そこら辺も狙ったものなのだろうなー、って。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。