8.27.2025

[theatre] Twelfth Night or What You Will

8月16日、土曜日の晩、Shakespeare’s Globeで見ました。

この週のあたりは雨が来そうになかったのと、20時過ぎて日が落ちると寒く感じるようになってきたので、野外の劇は早めに行っておかないと、と思って割と直前に取って行った。 

今回はMiddle Gallery(2階。3階まである)の一番前の席を取ってみる。背もたれはないが、前の手すりにもたれかかることができるので割と楽、だけどずっと同じ前傾の姿勢だとだるくなってくる – それぞれに難しい。

原作はシェイクスピアの『十二夜』 (1601-02)。 演出はRobin Belfield、舞台の正面奥にはでっかい太陽さんがブロンズの光を出している。大らかで明るい南国のイメージ。 舞台はバルカン半島の西、アドリア海の東の古代のイリリアで、でも主人公兄妹の衣装は緑/黄色のカリビアン風で、少なくとも英国やヨーロッパの暗く重いイメージからはちょっと遠い。

船が難破して双子の兄と離れ離れになってしまったViola (Ronkẹ Adékọluẹ́jọ́)は男性名のCesarioを名乗ってイリリアの公爵Orsino (Solomon Israel)のところに仕えて、Orsinoは兄の喪に服しているので、と言い訳して相手にしてくれない伯爵の娘Olivia (Laura Hanna)と結婚したいのでなんとかしろ、ってCesarioに命ずるのだが、Oliviaが恋におちてしまったのは男としてのCesarioの方で、でもViola/Cesarioが恋をしたのはOrsinoの方だったので、うー、ってなって、他にもOliviaに求婚する連中は後を絶たず、執事のMalvolio (Pearce Quigley)や道化のFeste (Jos Vantyler)も巻きこんで、ちょっとした騒ぎになっていく。

そして、船長のAntonio (Max Keeble)に助けられたSebastian (Kwami Odoom)は彼とふたりでイリリアにやってきていて、ふたりは恋仲になっているのだが、過去OrsinoとなんかあったらしいAntonioは身を隠し、そのうちSebastianにばったりしたOliviaは、Cesarioがつれないので瓜二つのSebastianに惚れちゃって、この他にもいろんなことの収拾がつかなくなってきたころで、CesarioがわたしはViolaだ! って宣言すると、こんがらかった糸が解けて兄と妹は再会し、OrsinoとViola、OliviaとSebastianは一緒になってめでたしめでたし、となる。

性のなりすましに(どうにかなるさ、っていう)意図的な策謀など、いろんな取り違えや見通し、思いこみも含めて、恋ってどうすることもできないし、つらくてしんどいのに、なんでみんなこんなことに首を突っ込んでしまうのか、というのと、種明かしひとつでこんなに楽になるのに、なんでこんなぐしゃぐしゃにしちゃうのか、って誰に文句言ったらよいのかわからないことが雲のように積もってなんなんだろ? っていうコメディ。コメディだけど、タイミングがちょっと違ったりずれていたりしたら簡単に悲劇のほうに落ちてもおかしくない、やってらんない切なさと際どさ – “What You Will” のなかにこのドラマはあって、いろんな「よくもまあ..」が湧いてくる。

ただ、こういったことが浮かんでくるのは見てしばらく経ってからで、舞台そのものはひたすらじたばた落ち着かずに絶えず2~3人が入れ替わり立ち替わり - 今回は客のいるピットとか島はあまり使わず – が激しく、そんななかでの惚れたはったも、ちょっと軽すぎないかー? って思ってしまうのだった。

今回幸せになれなかった人たち、黄色の縞タイツにテディベアを抱えた状態でみんなからぼこぼこにされる執事のMalvolioなんて、(おもしろいけど)すごいトラウマになっちゃうだろうに、かわいそうにー、なのだがこれもまた”What You Will”ということでよいのか。

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