8月23日、金曜日の晩、The Garage、っていうライブハウスで見ました。 
ここで最後に見たライブは2018年のA Certain Ratioだったかも。
ハリウッド俳優Michael Shannonがバンドを組んでR.E.M.のLPをリリース順に全曲カバーしていくのをずっとやっている、というのは聞いていて、彼はついこの間まで、このライブハウスから歩いて10分くらいのところにあるシアターでEugene O'Neillの”A Moon for the Misbegotten”に出演していたので、そのついでになのか、と思っていたら、これがこのバンドで初のUS外でのライブ(UKツアー)だという。バンドメンバーはギターのJason Narducyの他にはベースがTed Leo、ドラムスがJon Wurster (ex. Superchunk)、もう1人ギターがDag Juhlin (ex. Poi Dog Pondering) という半端に(自分にとっては)豪華な編成。Michael Shannonの担当はヴォーカルで、R.E.MのLPとしては3枚目の”Fables of the Reconstruction” (1985)を全曲やる、という2 DaysのDay 1。Sold Outしたそう。
わたしはR.E.M.の”Murmur”(1983) を国内盤発売初日に買って(なぜか輸入盤が見当たらなかった)、このバンドの最高作は3枚目と4枚目であり、”Document” (1987) 以降のはあまり評価しない、という哀れな者である。1985年の初め、”Meat is Murder”というロールもドライブもしないエレクトリック・ギターの金網のアンサンブルにヴォーカルを乗せる、というスタイルを持つ極めて強力な英国からの1枚でその年は終わると思われたその7月、ジョージア州アセンズのバンドがプロデューサーにJoe Boydを起用してその年のトーンを決定づける1枚を上被せでリリースする。それがこの”Fables of the Reconstruction”で、バンドとしてもそれまでのMitch Easterプロデュースによるカレッジチャート狙いの青臭いものからreconstructする1枚となった - そういう重要作であるので、行かない理由なんてない。土曜日帰国の野暮用がなかったら2日とも行っていたかも。
前座なしで20:30頃に出てきたMichael Shannon(バンド)はコートを羽織って帽子にサングラスで、直立不動で1曲目の”Feeling Gravitys Pull”から歌いだす。彼の声の肌理がMichael Stipeのそれと結構似ているせいもあってか、アクのようなところも含めてとても強く響く。バンドのアンサンブルも見事で、特にJon WursterのドラムスはBill Berry特有のクセを的確に押さえていてすばらしい。
4曲目くらいからコートも帽子も脱いでTシャツになり、そこからのMichael Shannonのテンションは痙攣するパンクシンガーのそれで、俳優である彼にとってはMichael Stipeがあのようなスタイルで歌に乗せた言葉を自分のものとして吐き出す、というエクササイズでもあるのか、(Michael Stipeが彼らを評して言ったように)これは単なるカヴァーバンドではないし、某キアヌとか某ジョニーが金持ちの道楽でやっているそれとも違うと思った。
いまLuke Hainesと組んでツアーをしているPeter Buckも、Big StarのカバーバンドでツアーをしているMike Millesも、こっちに来てこっちのMichaelを支えるべきではないのか、くらいのことを思ってしまったり。
”Fables of the Reconstruction”を順番通りに全曲演奏した後、Velvetsの”Femme Fatale”をやって、一旦引っ込んでから、第二部と言ってよいR.E.M.のベストヒッツ - というのとも違うか - R.E.M. 全キャリアのなかから彼らの演りたいR.E.M.を演奏していく。R.E.M.以外では、Wireの”Strange”(R.E.M.の来日公演でもやってくれてとても嬉しかった曲)やPylonの”Crazy” - プロデュースはChris Stamey - もあってまあなんというか。それにしても、Michael Shannonの歌う”Strange”のはまり具合ときたらなんなのか。
彼らの次のツアーは4枚目の”Lifes Rich Pageant” (1986)になるので、”Preview”として”Cuyahoga”をやった。なんであの曲であんなに盛りあがってしまうのか謎なくらいの盛りあがり。次のツアーでも英国には来てね(来るって言ったよね)。
ラストはこれしかないだろう、という勢いで疾走する”Pretty Persuasion”で、ほぼ2時間たっぷり。ここまでくると、あんたこの先映画俳優やっていても変人怪人類の役しかこないんだから、このバンドと舞台でずっとやっていけば? って思うのだった。
8.27.2025
[music] Michael Shannon & Jason Narducy
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