7月23日、水曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
Big screen classics - クラシックを大画面で見よう、の枠で、7月のテーマである「プール」に沿った1本。
タイトルそのまま「プール」だし、英語題は“The Swimming Pool”、邦題は『太陽が知っている』(…)
監督はJacques Deray、脚本はDerayとJean-Claude Carrièreともうひとり、音楽はMichel Legrand。
冒頭、どこかの山荘のような - でもモダンな建物の庭にあるプールサイドにJean-Paul (Alain Delon)とMarianne (Romy Schneider)が転がっていて、始めのうちは殆ど喋らず、ナレーションもなんもないのでふたりの関係も、どれくらいそこにいるのか、どうしてここに来たのかも何もわからず、無表情で目が笑っていなくて、すごく仲がよいようにも見えず、背中を掻いて、と頼んだMarianneをJean-Paulはプールに投げこんだりして、じゃれているようだがどちらも楽しそうには見えない。
食事はそこで雇ったと思われるメイドに作って貰っていて、あとは昼も夜もずっとごろごろだらだらしている(いいなー)、とMarianneの昔の知り合いらしいHarry(Maurice Ronet)と18歳になるその娘Penelope (Jane Birkin–これが最初のフランス映画出演だそう) – ほんとうの娘なのか不明 - が現れて、Marianneは彼らにここに滞在しなさいよ、と勝手に決めて、Jean-Paulはちょっとむっとする。
こうして全然仲のよさそうに見えない4人の理由も事情もなにもわからないプールを囲んだばらばらの暮らしが始まり、音楽業界にいるらしいHarryは仲間を呼んできて楽しくパーティを(勝手に)開いたり、Marianneと(よりを戻して?)仲よくなっていったり、Jean-Paulは殆ど喋らないPenelopeと共にいる時間が長くなっていく。
ある晩、みんなが寝静まった後に酔っぱらったHarryがやはり酔っぱらっているJean-Paulにねちねち絡んで、ぶん殴ろうとしてプールに落ちて、Jean-PaulはばしゃばしゃしているHarryの頭を押さえて溺死させて(なかなか怖い)、Harryの服を新しいのに替えて事故に見せかけようとするのだが…
最後にこうなってしまう(バレ)、とかそんなこと以上に始めから終わりまで一貫して漂う不穏でダークで愛とか歓びの一切感じられない雰囲気がものすごい。Alain Delonがいて、Romy Schneiderがいて、Jane Birkinがいて、メインの4人が四角の水がはられたプールを囲んで、天気が悪いわけでもないのになんでそんなに不機嫌になれるのか、炬燵ならよいのか。なんでこんなことになったのか、ちっともわからないものの、こうなるだろうな、というのはなんとなく途中からわかって、実際そうなる。そうやって誘き寄せるためだけに囲って水のはられたプール、にしか見えなくなるのが怖くて素敵。
Million Dollar Mermaid (1952)
7月30日、水曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
これもBig screen classicsの枠で、これもプールもの… かなあ。監督はMervyn LeRoy、振付はBusby Berkeley。邦題は『百万弗の人魚』。
実在したオーストラリア出身の水泳選手→スターとなったAnnette Kellermanの評伝ドラマで、現在Design Museumでやっている特別展 – “Splash! A Century of Swimming and Style”にも彼女の展示コーナーがある、ということで同展示のキュレーションをした人によるイントロがあって、Annette Kellermanはスイミングのカルチャーを変えたすごい女性なのだと。
ポリオで足に障害をもっていたAnnette Kellerman (Esther Williams)が治療のために始めた水泳が楽しくて止められなくなって、そのままオーストラリアの花形選手となるが、父が破産してイギリスに渡ることになり、その船の上で怪しげなカンガルーとプロモーターのJames Sullivan (Victor Mature)と出会って、でも父の仕事がうまくいかないので、テムズ川を26マイル泳ぐ(やめなよ、ぜったい体によくないよ)、っていうのをやって話題になり、Jamesの誘いに乗ってNYのHippodromeでマーメイドのショーをやろうとするのだが... っていう波乱万丈の一代記で、恋愛も少しだけ入ってくるけど、あの有名な飛びこみのシーン – “That’s Entertainment, Part II” (1976)でも紹介されていた - がとてつもないので、ぜんぶ吹っ飛んでしまう(あんなことやってたら首痛めて当然だわ)。
こうやって並べるてみると、プールっていったい何なのか、よくわからなくなるねえ。
8.06.2025
[film] La piscine (1969)
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