7月28日、月曜日の晩、BFI IMAXで見ました。取った回が3D上映のだったので、久々の3Dで。
MCUとしては37番目の映画で、監督は”WandaVision”(2021)のミニシリーズでレトロ調の画面作りをうまく(くどく)ストーリーに活かしていたMatt Shakman。
実写版の”Fantastic Four”は失敗したと言われる2015年版 - 未見 - の前の2005年のもあったりして、ただ設定そのものがちょっとあれで漫画すぎて実写には馴染まないのではないかと。幼児期のうすーいすり込み(あった気がする、くらい)はTVアニメの『宇宙忍者ゴームズ』だったし…
と思っていると、今回の設定はEarth-828というところ、これの60年代、まったく別のヴァースにしてしまうことで、テクノロジーを除く社会全体のルックスも含めてレトロフューチャー(っていうの?)を実現していて、登場人物周辺のコミュニティもファッションも水色で流線形のぴかぴかで、中心の4人は既に宇宙に行ってあの状態で戻ってきていて、そのまま社会にヒーローとして受け容れられている。異形のものや特殊な力を持ってしまった者たちへの疑念とか不安はきれいに排除されていて、こないだの”Superman”(2025)を見た直後でもあるので、そのベースとなるトーンの余りの段差に戸惑う、というよりずっこけるくらい。
Dr Reed Richards (Pedro Pascal)とSue Storm (Vanessa Kirby)の夫婦とSueの弟のJohnny Storm (Joseph Quinn)と外見を岩石にされてしまったBen Grim (Ebon Moss-Bachrach)のFantastic FourはTVのホストショーに出るくらいメジャーで支持されていて、そこに突然敵っぽいSilver Surfer (Julia Garner)とその後ろにいるほぼ大魔神のGalactus (Ralph Ineson)がなんの理由も説明もなく敵として現れて赤ん坊をよこせ、とか言ってくるので、どうしよう…ってなるの。
あと、冒頭でReedとSueの間には子供ができて、その言いっぷりがどこかなにかの自然現象のようだったのと、Sueは妊娠した状態のまま宇宙に出かけて戦ったりしていたので、生殖の仕方から誕生まで何から何まで違う別世界・生物の話なのかもしれない。 ただこれらを受けとめてしまうと、ぜんぶそういうものだから.. になってしまって、アニメーションの”The Incredibles” (2004) – あっちは赤 - のと同じようなもの? そんなでもよいのか。
これは”The First Steps” – “Endgame” (2019)の後の - なので、ここまで閉じてわかりやすく快適な世界を作ってしまった後、ヴァースの底が抜けて”Universe”にどんな破綻や惨劇が降りかかるのか - ヒーローがどんな活躍を見せるのか、ではなく – に興味が向かう。それらを準備するための美しくドリーミーに整えられた「はじめの一歩」 or あの赤ん坊の話し? だったのだろうか、とか。 でも、やはりそれにしたって全体に幼稚でおめでたすぎやしないだろうか。
The Naked Gun (2025)
8月2日、土曜日の晩、CurzonのVictoriaで見ました。公開初日に見ることは叶わず、2日目に。85分という長さも含めてすばらしい。
この『裸の銃を持つ男』のシリーズも、” Airplane!” - 『フライングハイ』のシリーズも、David Zuckerらが作りだしたしょうもなくくだんないC級コメディの世界が大好きだった。こういうのは昔だと名画座の二本立て三本立ての「おまけ」のように付いてきて、場合によっては本編よりもおもしろくて印象に残ったりしていた。いまこれらを知らない、知りようのない若い世代の人々にきちんと説明するのは難しい。なにひとつ、跡形も残っていないから。
そして、かつてLeslie Nielsenが演じていたFrank Drebinの役(実際にはFrank Drebin Jr.の役)をLiam Neesonがやる、と聞いた時は驚いた(名前が似ていたから、とか言ったりして...)。Tom Cruiseが”Tropic Thunder” (2008)あたりでおちゃらけるのとはわけが違う、これまでのキャリアを捨てるつもりなのか、とすら思った。それくらいこの界隈の沼は冗談にしたって(冗談だから)深くてこわいんだから…
冒頭、LAの街で白昼、銀行強盗があって、沢山の市民が人質として取られて緊迫した状況のなか、可愛い女の子がひとり、笑いながらスキップして銀行に入っていって、全員が息を呑んでいると、彼女が突然でっかく変態してLiam Neesonになって、犯人をぜんぶ殺したり捕まえたりしてあっという間に解決してしまう。ここで「そんなばかな…」と一言でも呟いてしまったら、この先はもうついていけないのよ。
事件はその強盗事件の際に貸金庫から盗まれたらしいデバイスの行方を巡ってエンジニアの事故と見せかけた殺人事件が起こり、Frank Drebinが捜査を進めていくなかで、そのデバイスが世界征服を企むテック富豪Richard Cane(Danny Huston)による“Kingsman: The Secret Service” (2024)にあったのと同じような人々の暴力行為を引き起こすやつだとわかって、なんとしても阻止せねば、になるの。
世界征服 - 人々を意のままに動かそうとする富と権力全てを握った悪富豪の企み、という最近そこらじゅうにあるこのネタほど、このシリーズの恰好のエサになるであろうことは言うまでもなく、なにかのパロディが滑ってそれを補うべく別のネタを繰りだすもののそれも効かずに追いかけていくうちに枝葉ばかりになり、幹は収拾がつかない状態で放置され、それをひっくり返すだけの大ネタが – あると思ったら実はなかった… とかそんなのの周辺をずっとぐるぐる回っているだけ、資金を回収できたできなかったにうるさい最近のハリウッドでよくこんな企画が通ったな、と思うのだが、とにかくあのシリーズの新作としてはちゃんと機能していると思った。「コンテンツ」全盛のいまの世の中で、どこまでサバイブできるのだろうか。
もちろんロマンスもあって、被害者の妹としてPamela Andersonが登場し、べったべた(かつ中身すっからかん)のLAの80’s Loveが展開される。実生活のほうまで延焼してしまったらしいところも含めて微笑ましい。
あと、Frankの相棒のEd Hocken Jr をPaul Walter Hauserが演じているのだが、彼おもしろいんだからもうちょっと前に出てきてくれてよかったのに、とか。
あんなに楽しかった”M3GAN 2.0” (2025)ですら劇場公開を見送られてしまうのであれば、これなんかもう… ではないか。 そしてこんなのすら公開できない洋画配給界は、お先まっくらとしか言いようがない。
8.04.2025
[film] The Fantastic Four: First Steps (2025)
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