8月18日、月曜日の晩、Shakespeare’s Globeで見ました。
↓の『十二夜』と並行して上演していて(どういうオーダーになっているのかは不明)、セットの一部とか共有しているのかと思ったら全然別物だった。切り替え、大変じゃないのかしら?
これのポスターやプログラムには頭にキツネの被り物をした女房ふたりがすらっと立っていてなかなかかっこよいのだが、彼女たちがその格好で出てくることはなかった。やや残念。
原作はシェイクスピアの1957年の戯曲。『ウィンザーの陽気な女房たち』 。初期のタイトルは”Sir John Falstaff and the Merry Wives of Windsor”で、中世が舞台となる『ヘンリー四世』の登場人物だったでぶ騎士のFalstaffをマルチヴァースで(執筆当時の)現代に転生させている。
演出はSean Holmes。舞台セットは落ちついた淡いグリーンに葉っぱ模様の壁紙が貼られたごく普通の内装インテリアっぽい。客席側に乗りだしたり張りだしたりはそんなになくて、見方によってはホームコメディのようでもあるから?
ここウィンザーに騎士Falstaff (George Fouracres)が意気揚々とやってきて、女でも引っかけてやれ、ってMistress Ford (Katherine Pearce)とMistress Page (Emma Pallant)に名前のところだけ変えた同じ内容の誘惑の手紙を同時に送って、仲のよい彼女たちは同じような恋文を同一人物から受け取ったことを知ると、あまりに失礼なこの野郎を懲らしめてやることにして、夫のいない時間に家に来るように誘う。騙し討ちのセッティングは完璧のように思われたものの、ここにこの裏事情を知らずに妻の浮気と勘違いしてしまう夫のFordや、Pageの娘のAnneの縁談 - 3人の候補がいて簡単にはいかない - が絡んで、全体はどたばたせわしないコメディで、ぼこぼこにされていくFalstaffをはじめ、ウェールズ訛りのひどい牧師Sir Hugh Evansとか、彼らの周りの召使いたちを含めた男たちの滑稽さ浅はかさが前面にでて、「陽気な」女房たちの強さがあまり映えなかったのはあれでよいのか。
ウェールズやフランスの訛り、あるいは「女性」全般、所謂よそもの、に向けたヘイトまでは行かない、おちょくりとか嘲りが底を流れていって止まらなくて、その無邪気さや意地の悪さはやはりちょっと昔の時代のかんじがあって、結果的にそれらをぜんぶひっ被ることになるFalstaffは、1回目は洗濯籠に他の洗濯物と一緒に詰めものにされて棄てられ、2回目は狩りの標的にされて散々なのだが、わーわー笑えてとりあえず(こっちが)幸せになれるならー、くらいでよいのか。
いちおうお話しとしてはめでたしめでたし、にはなるものの、Page夫人はちょっとFalstaffに未練があるようだったし、あくまでお芝居なんだから、で締めている感はあって、このごちゃごちゃ、じたばた収まりのつかないかんじは映画でやった方が向いている気もした。思い浮かべたのは”The Witches of Eastwick” (1987) - 『イーストウィックの魔女たち』 とか。
あと、ウィンザーというと、今は王様たちが居住していて水辺に白鳥がいっぱいいるところ、というイメージくらいしかないのだが、当時の町としてはどんなふうで、その地勢のようなものも影響したりしていたのだろうか、とか。
8.27.2025
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