8月3日、日曜日の午後、BFI Southbankで見ました。
先月から続いているMoviedromeのシリーズからで、↓の”Mommie Dearest”とセットで見ると£2.50安くなる。割引は使わなかったけど、続けて見てしまった...
監督はRobert Aldrich、原作はHenry Farrellによる同名小説。 邦題は『何がジェーンに起ったか?』。
これはもう何度か見ていて、その度に怖くて泣きそうになるのであまり見たくないのだが、時間が空いてしまったので。
かつてチャイルドスターで有名になった後は見向きもされなくなり、かつての幻影の世界に籠って時間を止めてしまった"Baby Jane" Hudson (Bette Davis)と姉で女優だったBlanche (Joan Crawford) - 事故で車椅子生活 –が一緒に暮らす一軒家での命がけの攻防 – というよりほぼBaby Janeによる一方的な虐待 – を描いて、とにかく見るのが辛くて怖くて、女優ふたりの凄まじい演技もあるけど、この逃げ場のない - 絶対そこにある/あった過去の - 閉塞感と絶望は演出の力によるものだと思う。
最後、あの浜辺の家(”Kiss Me Deadly” (1955)で出てきたあの家)の前、Baby Janeは死んでいるか死んでいないかわからないBlancheの前で、いまもずっと踊り続けているのだと思うと…
Mommie Dearest (1981)
監督はFrank Perry、原作はChristina Crawfordのメモワール本。邦題は『愛と憎しみの伝説』。
↑で(役柄上)苛めぬかれたJoan Crawford (Faye Dunaway)による養女らへのリアル虐待を虐められた側から延々描いて、これもきついことはきついのだが、関係者はサバイブして本も出してこうして映画にもなったのだから(というのはなんの慰めにもならぬが)。
他方で、この映画は同年のラジー賞のWorst PictureとWorst Actressを受賞して、確かに映画としてちょっとまともでないかんじではあるものの、Pauline KaelはCampである、って褒め称えた。 うん、Campかも、とは思うし、映画としては息をのむシーンの連続で、”…Baby Jane?”とは別の意味で目を離せなくなるのだった。
MGMの看板女優で恐いものなしだったJoan Crawfordが自分の子供には恵まれなかったので養子がほしい、といい、ただ一般の施設からは二度の離婚歴等があるので養親として相応しくない、と提供を拒まれて、でも当時の恋人だった弁護士にねじ込んでもらって、養女のChristinaを、さらに少し後に養子のChristopherを貰いうけて、大喜びで育て始める。
始めのうちは過剰なくらい子供たちを溺愛するママ... のように見えたのだが、そのうち自分の意に従わなかったり、競うような局面で自分に勝ってしまったりするとめちゃくちゃなお叱りをする(子供たちからすれば理不尽地獄)DVママに変貌して、それが反省を促したり(誰もそれを指摘)することなくいくつになっても続いていって止まらない。その止まらない、しつこくて懲りないかんじがたまらなくおかしく、Faye Dunawayの描いているのか付けているのかの眉毛とか、SNLのスケッチコントのように見えてしまったり。
言い返したChristinaを閉じこめたり、ふざけて自分の真似をしたChristinaの髪の毛を裁ちばさみでばさばさ切り落としたり、MGMとの契約を切られた際には、庭のバラをぜんぶ切り落としても治まらず、「斧を持ってこい!」って怒鳴ったり。そのめちゃくちゃが余りにクールで堂々としているあたりがCampなのか。いくつかのシーンでは笑いと共に拍手が起こって、確かに支離滅裂なのだが、それをやっているのがJoan Crawford(の演技ではなく素)なのだからChristinaとChristopherには悪いけど、おもしろいとしか言いようがない。タイトルの”Mommie Dearest”は、Christinaが散々叱られた後、ごめんなさいを言う際に必ずいう言葉で痛ましいのだが、彼女がエンディングのJoanのお葬式で言う時はちょっとだけかんじが変わる。
2つの映画に共通している、クセのようになってエスカレートして止まらなくなっていく虐待、そのグロテスク描写があまりにグロいので(正気か..? って)凝視してしまう、どちらもその凝視を固着させることに長けた映画だと思った。
でも日曜日の午後から夕方ぜんぶを使って見る映画たちではなかったかも。
8.13.2025
[film] What Ever Happened to Baby Jane? (1962)
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