3.04.2025

[film] Mujeres al borde de un ataque de nervios (1988)

2月17日、月曜日の晩、BFI Southbankで見ました。個別の特集とは紐づけられていない、”Big screen classics”の枠。

英語題は”Women on the Verge of a Nervous Breakdown”、邦題は『神経衰弱ぎりぎりの女たち』。 作・監督Pedro Almodóvarの名を世界に知らしめた1本で、1988年のオスカーの外国語映画賞(ノミネート)やGoya Awardや、いろいろ受賞していて、ブロードウェイのミュージカルにもなった。けど、これまで見たことはなかった。

洋画の吹き替え声優をしているPepa (Carmen Maura)が一緒に暮らしていたIván (Fernando Guillén)から別れを切りだされたところにIvánの先妻の子のCarlos (Antonio Banderas –まだぴちぴち)など一連隊が芋づるで絡んできてそれぞれが神経衰弱ぎりぎりに追い詰められていく女たちを描く。

みんな自分の伝えたいことは(直接話したくないから)留守電にもなんにでも勝手に入れたり割りこんできたりするくせに自分の大事なことはこれぽっちも伝わらず宙に浮いて、結果みんなが先回りしたり裏工作したり何やっているのかわからないところにまみれてきて、全員がいいかげんにしろよお前ら!になって小爆発が連鎖していく様を、女性の視点中心で見ていて、Altman的な男性がなぎ倒していくアンサンブルのどたばたとはちょっと違うかも。

現在のAlmodóvar作品の特徴でもあるモダンなインテリア/エクステリアなど、Pepaはペントハウスに住んでいるけど、そこまで大きな比重は占めておらず、エモや激情が前面に出ていて、でも(そういう波動の反対側にある)睡眠や昏睡、といったAlmodóvar得意のテーマは既にあったり。

とっちらかっていて変人ばっかり出てきておもしろくて、もう一回見たいかも。


La ciénaga (2001)

2月27日、木曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
特に特集に紐づけられていない。 英語題は”The Swamp”。 
脚本がSundance/NHK Awardを受賞した作品だそうで、NHKの名前がクレジットに出てくる。

“The Headless Woman” (2008)や”Zama” (2017)の、アルゼンチンのLucrecia Martelの監督デビュー作で、(やっぱり)ものすごくおもしろかった。でもなんで/なにがこんなにおもしろいのか、あんまよくわからない。

アルゼンチンの田舎の方の、結構古いお屋敷のような別荘で、中年女性のMechaとその家族がプールサイドで酒を飲んだりしながらだらだらと休暇を過ごしている。子供たちは山で沼にはまって動けなくなっている牛を見つける。Mechaは転んで血だらけになって医者に運ばれ、その息子もなんだか怪我をして血まみれになっていて、娘たちは使用人も一緒になって好き勝手に遊んでいて、TVでは屋根の上に聖母マリアが現れた、というニュースをやっている。大きい息子はダンスクラブで喧嘩して怪我をして、ボリビアに文房具を買いにいく計画があって、従姉妹たちは野山で猟銃をぶっ放して遊んでいて、万事がこの調子の、ただただいろんな物事が起こって、放置されたり、途中までいってキャンセルされたり、うまくいかなかったり、の連続で、こんなふうになった!はなくて、怪我をしたり血にまみれたりしても、ふつうにどうにかやっています、ずぶずぶ(沼)… みたいな。 監督自身の家族の記憶に基づいているそうで、なるほどなー、この落ち着きはそういうやつか。

一家は何を生業としているのかあまりよくわからない、別邸がいて使用人もいるので貧乏ではないようなのだが、ブニュエルの映画にあったようなブルジョアの「ブ」の字もなくて、生活感、みたいのとも無縁(というか垂れ流し)で、どちらかというと清水宏の映画に出てくるたくましい人たち(とそのエピソード)を思い起こさせるし、実際そこらにいそうなノラのかんじというかがたまんないのだった。


オスカーはどうでもよかったのでどうでもよいのだが、音楽賞を”The Brutalist”で受賞したDaniel Blumberg (ex. Yuck)が壇上でDalstonのCafe Otoに謝辞を述べた、というところだけちょっと嬉しかったかも。

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