3月8日、土曜日の夕方 – いよいよ時間がない – Park Theatreで演劇を見たあと、移動してBFI SouthbankのChantal Akerman特集で見ました。 これはなんか見逃せない気がした。 上映前にAnother Gaze誌のDaniella Shreirさんによるイントロがあり。
英語題は”Portrait of a Young Girl at the End of the 1960s in Brussels”。63分の中編で、元はTV局Arteが9つからなるシリーズとして企画した”Tous les garcons et les filles de leur âge” (All the Boys and Girls of Their Age)のなかの1編。他に委託された監督たちはAndré Téchiné, Olivier Assayas, Claire Denis, Cédric Kahnなどなかなかすごくて、Assayasの”Cold Water” (1994) はこの企画から劇場公開されたものだそう。
舞台は1968年4月のブリュッセル – 「1968年5月のパリ」でないところがポイント – 15歳のMichelle (Circe Lethem)は親友のDanielle (Joelle Marlier)とつるんでうだうだしていて、Michelleの髪はショートでずっと洗っていないようなボーダーを着ていて、Danielleの髪はロングで身なりはややちゃんとした学生ふうで、ふたりとも学校なんてどうでもよくて頭にあるのはパーティのこととかばかり、そのうちMichelleは街中でスーツを着ているけどどう見てもちょろくてあやしい若者Paulと出会って映画館でキスをして、よい雰囲気になってきて、街をうろついてから彼のいとこのアパートに行くのだがだれもいなくて、”Suzanne”をふたりで踊ってからー。
MichelleとDanielleと一緒にいった夜のパーティでは「ラ・バンバ」などをみんなで踊るのだが、あんまりおもしろくなくて– 微塵もおもしろそうでなさすぎておかしい - 結局ふたりで手をつないで帰るの。
街をふらふらしている時のどこにも行きつけないすっからかんのかんじ、パーティがろくでもないものになりそうな感触がある時の夜道の冷たいかんじ、ふたりになった部屋ですることがなくなった時に吹いてくる風、などのものすごくよくわかる空気や湿気、明度は彼女のいつもの。
Michelleのキャスティング、スタイリングは68年当時のChantalそのものを狙ったそうで、ただ年齢だけみると、Chatalの方がMichelleより3歳上で、更にこの年に彼女はデビュー作”Saute ma Ville” (1968)を撮って、自分ごとフラットを吹っ飛ばしてしまうわけだが、そういうことを平気な顔でやってのけそうなへっちゃらなやばい佇まいはこのMichelleにも既にあるかも。
それにしても、同じボーダーでも『なまいきシャルロット』 (1985)のきらきらしたそれとはぜんぜん違うし、ふたりの少女ものとしては、あと少しで『レネットとミラベル/四つの冒険』 (1987)にも行きそうなのだが、男性の監督が撮ったこれらの少女映画とは、なんか次元が違う。彼女たちの野良なかんじも含めて、当たり前のように地に足がついて生きている、というか。
“Cold Water”との二本立てで見たいかも。
Hôtel des Acacias (1982)
↑のと同じ枠で、先に上映された42分の中編。
INSAS (the Brussels film school)のワークショップで、学生たちに制作させた作品で、Co-directedのクレジットはMichèle BlondeelとChantal Akermanの2名。 彼らの書いたスクリプトを元に4名の学生(?)が16mmのカラーで撮った作品。
町中のホテルに女性が泊まりにやってきて、部屋を取って、その辺りから始まる客室、フロント、フロアと昼夜を貫いてホテルの従業員たちと宿泊客たち、彼らのかつての恋人たちをも巻きこんだ恋のぶちあたり/ばちあたり大会が始まってどうにも止まらない宴になっていく。
“Golden Eighties” (1986)のショッピングモールの縦横を目一杯使って恋にやられて魂がとんでしまった人々が歌って踊って交差していった画面の背景を“Hotel Monterey” (1972)で切り取った四角四面のホテルの格子上に置いてみたプロト、のような。 とても学生とのワークショップで作ったものとは思えないクオリティで、たまんなかった。
“Les années 80” (1983), “Golden Eighties” (1986)との三本立てで見たい。
この後、なんかものたりなかったので、公開されたばかりのSZAとかが出ているコメディ - “One of Them Days” (2025)を見にいこうとしたのだが、途中で地下鉄が動かなくなったりしてくれたので、諦めて帰ってパッキングなどした。
3.19.2025
[film] Portrait d’une jeune fille de la fin des années 60 à Bruxelles(1994)
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