2.04.2025

[film] A Warm December (1973)

1月30日、木曜日の晩、BFI Southbankの特集 – “Sidney Poitier: His Own Person”で見ました。

もう1月は終わってしまったので、この特集からは2本しか見れなかったことになる。残念。 上映後に主演女優のEsther Andersonとのトークつき。

Sidney Poitierは主演のほかに、監督 – これが初の単独監督 - もしている。 邦題は『12月の熱い涙』。

アメリカで、Dr.と呼ばれているのでなにかの医者と思われるMatt (Sidney Poitier)は、一人娘のStefanie (Yvette Curtis)とモーターバイクと一緒にイギリスに長めの休暇に出る。現地で友人とも楽しく再会したあたりで、怪しげな男たちに追われて困っている女性を体で隠して助けたあたりから彼女のことが気になり始めて、そしたら行く先々で何度も怪しい連中こみで見かけたり会ったりすることになって、きちんとした形で会ってみると彼女はCatherine (Esther Anderson)という名の、アフリカのどこかの国の大使の姪で、彼女を追っかけていたのは彼女の御付きの連中であったことがわかる。

Catherineは語学に堪能で、特にアフリカの文化には造詣が深くて、一緒にパーティなどに出たり楽しく過ごしていくと、早くに妻を亡くしているMattはあっという間(あんなあっさり簡単でよいのか)にCatherineと寝てしまい、彼女付きの連中に睨まれながらも馴染んでいって、Stefanieとも一緒に出かけたりするのだが、ヘリコプターに乗った時にCatherineの様子がおかしくなったことに気付いて、医師なので更に細かく調べてみると難病であることがわかって…

そうか難病モノだったか、と思ったのだが、ここでの難病のありようは、ふたりで楽しく過ごそうとしていた時間を壊してしまってどうしよう.. ってあたふたするその繰り返しが主で、それって子供の頃にTVでやっていた山口百恵主演のシリーズ(親に見せて貰えなかったけど)と似た70年代テイストの、いなくなったら辛くて死んじゃう、というよりも、とにかくなんとかしなきゃ、という焦りが前に後ろにつんのめっていくような類のやつで、そんなに怖くなくて悲しくもならなくて、国にとって大切な王妃のようなお嬢さまがそんなふうに野放しでよいのか、って最初の問いに戻ったりするものの、とにかく大変そうなかんじは伝わってきて、でもそこまでなの。

『ローマの休日』 (1953)+『ある愛の詩』 (1970)から影響を受けた、とあって、このふたつの映画の合成となると、どっちにしてもすごく大変な事態(当事者たちにとって)だと思うのだが、真ん中のふたり - Sidney PoitierもEsther Andersonも - それらをなんか、なぜか超然と受けとめていて、最後も無事を祈る、みたいに飛行機でふわっと飛んで帰っていっちゃうので、見ている側としてもとにかく無事を祈る、しかないのだった…  

あと、これはこの映画に限った話ではないのだが、70~80年代のロンドンが舞台だったりすると、これどこだろ?ってきょろきょろして落ち着いて見ていられなくなるのはよくない。

上映後のEsther Andersonさんのトークは、映画のCatherineがそのまま活動していったら、と思わせるようなエピソードだらけでびっくりした。

1943年のジャマイカに生まれてChris Blackwellと共にIsland Recordsの設立に関わり、Bob MarleyやJimmy Cliffといったレゲエ・ミュージシャンの紹介をして彼らの写真を撮って.. えーとつまり、この人がいなかったらジャマイカの音楽がイギリスのパンクとぶつかってあんなふうになったりすることもなかったかも… とか? あと3時間くらい話を聞きたかったかも。

Sidney Poitierの撮影現場はとても楽しくて、彼はあのイメージ通りのすてきな人だった、っていやそんな知ってることよりもー。

トークが終わって、彼女のところに挨拶に来た人に「ラスタファーライ」ってものすごくナチュラルに挨拶してて、おお! っていちいち。

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