2.04.2025

[film] Saturday Night (2024)

1月31日、金曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。

この作品は、昨年のLFFのシークレット上映(直前までタイトルが発表されない)枠で公開されて、発表直後にはみんなわーってなったのだが、その後に急に静かになったので、あれかな.. と思ったらやっぱり評判は散々なのだった。監督はJason Reitman。

でも、Saturday Night Live (SNL) ~当初は”Saturday Night” - は大好きでずっと見てきたので、公開初日に見る。 予告を見るまでもなく、つまんなくなるのはわかっていたのだが…

1975年の10月11日、土曜日の晩、生放送のコメディーショウの本番の数時間前の、プロデューサーLorne Michaels (Gabriel LaBelle)の経験した地獄のような底なしの混沌をライブで追っていく。ロックフェラーセンターの下で(Finn Wolfhardが)客寄せをしても客はちっとも寄ってこない、局の重役(Willem Dafoe)はがみがみうるさい、リハーサルはできているのかいないかぐじゃぐじゃ、John Belushi (Matt Wood)は契約書にサインすらしないでぼーっとしている、等、いろいろどうしようもない状態で本番の時が近づいて... をじりじり逐次で追っていく。

この日が失敗に終わっていたら、現在のSNLは存在していないのだが、番組もLorne Michaelsもいまだに健在なので、この晩はどうにか切り抜けたのだ、ということはわかっている - だとしたらそこにどんな魔法や奇跡があったのか起こったのか。この映画を見る限り、魔法なんて起こらなくて、ごちゃごちゃの中、なし崩しで放映が始まって、そのまま50年間続いてしまった、ということになる。それはそれで痛快なことのだろうが、映画としてこの描き方はどうなのか。

映画を見る前から感じていた、つまんないだろうな、というのは、この番組の、何が起こるのか飛びだしてくるのかわからない、そのはらはらをうまく再現できるとは思えないし、それらはアドリブ芸しかないような神経と瞬発力を持ったコメディアンたちが綱渡りの曲芸で渡ってきた - そんなライブの醍醐味を後付けで再現しようとしても… ということ。70年代の伝説のライブを、「伝説」だから、って別のミュージシャンを連れてきてカバーして見せてもしらーってなるであろうのと同じで。

わたしがSNLにはまったのは90年代初のNYで、Chris FarleyがいてAdam SandlerがいてDavid SpadeがいてNorm Macdonaldがいて、次のは00年代のはじめのWill FerrellがいてJimmy FallonがいてTina FeyがいてMaya Rudolphがいて、そういう頃で、どのスケッチも英語なんてわかんなくても異様におもしろくて、それでもやはりこういったスタイルと構成を編みだした初代メンバーの恐ろしさとリスペクトはあちこちに感じることができたし、いまアーカイブを見てもすごいな、ってなるし。

でもこの映画では、本番開始前なんてそんなもん、なのかもしれないけど、John Belushiはただのむっつりした変人だし、Andy Kaufmanはどこがおもしろいのかちっともわからないし、Chevy ChaseもDan AykroydもGilda Radnerもいるかいないか、ものすごく薄いし、現場がパニックになっていくなか、Lorne Michaelsはひとり涙目になったり開き直ったり、そんな程度で、なんでどうして本番にGoを出せたのかぜんぜんわからないただの修羅場、しかないの。

なにか新しいことを始める時って、だいたいそんなものだ、なんてしたり顔の言い草は聞きたくないしー。いや、そんなことよりも何よりも、SNLへの愛をあまり感じることができないのがどうにもしんどい。

SNLがどういうサークルだったのか、だったらこないだリリースされたドキュメンタリー“Will & Harper” (2024)のがよりよくわかるかも。


建物の前の人工の小さい池に落ちて、膝を切った。ライブハウスに行く時に転んだ時の膝の反対側。あれこれダメすぎる。

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