8.26.2024

[film] Notes on a Scandal (2006)

8月16日、曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
ここでは地味に映画音楽作家としてのPhilip Glass特集 - “Shifting Layers: The Film Scores of Philip Glass” - をやっていて、”Koyaanisqatsi” (1982)のIMAX上映とか、80〜90年代のとか、見たいのばかりなのだが時間が取れなくてぜんぜんだめで、でもそこからの一本。 邦題は『あるスキャンダルの覚え書き』。

監督はRichard Eyre、原作はZoë Hellerの小説 “What Was She Thinking: Notes on a Scandal”をPatrick Marberが脚色している英国映画。

ロンドンの保守的な総合学校で歴史の先生をしているBarbara (Judi Dench)がいて、生徒からは少し恐れられ避けられていて、教師仲間からも距離を置かれていて、老猫と暮らしてて独身で定年間近で、ずっと日記をつけている(とてもいそうな像)。彼女のナレーションが時々はいる。

Barbaraは新たに赴任してきたアートの先生のSheba (Cate Blanchett)に惹かれて近づいていく。 彼女にはずっと歳上の夫Richard (Bill Nighy)と娘と障害をもつ息子がいて、彼女の家に呼ばれたBarbaraはなにかと気苦労が多くて大変そうなので、自分は彼女の味方になろうと思って申しでて、彼女も頼って寄ってきてくれるようになるのだが、ある日彼女が教え子のSteven (Andrew Simpson) -15歳 - と関係をもっているのを発見してしまう。

BarbaraがShebaにそのことを告げると、Shebaは自分の家族のことでもあるのでクリスマスまでは誰にも言わないでほしいと懇願し、Barbaraはこれ以上彼と関わらないというのなら言うつもりはない、と約束しつつ、未成年の教え子と教師のスキャンダルの秘密を握ってしまった年長者がこれをネタにお気に入りを自分の支配下に置こうとするのだが…

ShebaはStevenにもうつきあえないから来ないで、と告げたのに彼の方は割と本気になっていて、彼女の方もすっぱり断ち切るのが難しいことはわかっていて、自分の思うように動いてくれないその様子を見たBarbaraは次の手として、Shebaに惹かれていた男性教師に生徒との関係についてこっそり告げると、炎はあっという間に燃え広がるしStevenの親は怒鳴りこんでくるし。

自分のお気に入りに自分の方だけ向いてずっと一緒にいて貰おうとする企てはBarbaraの姉により過去にもやらかした同様のコトが明らかになりつつ、家にいられなくなったShebaを自宅に匿うのだが、Shebaに過去からの日記を読まれてしまい、全部あんたか! って(激怒)。

家族の世話で疲れたShebaとずっと独りでいることに疲れているBarbara、それぞれが互いの秘密を暴きあって怖いねえ、というお話というよりは二人とも男系社会の被害者でちょっとかわいそうにも見えたり。ただ、Judi DenchもCate Blanchettもとてつもなく生々しい存在感で凝り固まってしまった「こわい人」を演じてしまっているのであまりかわいそうなかんじにはならない、そこだけ。日本のドラマにした方がよりこてこてに生々しくなるのでは(既に誰かがやっていそうだが)。

Shebaの部屋にやってきたStevenが、彼女の持っていたSiouxsie and the Bansheesの”Dizzy” (1995)をかけて、すごいなーとか言っていて、過去にバンドをやっていたというShebaのその頃の写真はまるでSlitsみたいで、その激情が最後に爆発するとこはすごいと思った。

もっといろんな人を出して、”Love Actually” (2003)のようにしてしまう、という手もあったかも(ねえよ)。

Philip Glassの音楽はゴージャスかつめくるめくメロドラマ感たっぷりだと思った。あとほんの少しだけ変態みがあっても、とか。


金曜日の晩だったので、この後にアルトマンの”3 Women” (1977)  - 『三人の女』をはしごした。Shelley Duvall追悼で。ちょっと疲れたかも。

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