8月10日、土曜日の昼、Curzon Mayfairで見ました。
Colleen Hooverによる同名ベストセラー小説(2016)- 未読 - の映画化、ということで宣伝も含めて結構話題になっていた。どんな話かぜんぜん知らずに見る。130分と結構長い。
監督は - 後で知って少しびっくりしたのだが - Blake Livelyの相手役で出演しているJustin Baldoni。
冒頭、Lily Bloom (Blake Lively)はメイン州の実家を訪ねて母と会い、実父の葬儀に参列する。市長を務めた地元の名士だったらしい父の葬儀なのだが、父のよかったところ5つを称えるように言われていたのだが、どうしてもできずに泣きながら壇上を去る。理由はわからない。
ボストンに戻った彼女は、一軒のぼろぼろの空き店舗に目を付けて、それをリノベーションして自分の花屋をオープンしようとする。
リノベの途中で店を訪ねてきたAllysa (Jenny Slate)と気が合って彼女を店員にして、それと同じ頃、Lilyがビルの屋上でひとり佇んでいたらそこの椅子を蹴っ飛ばして現れた外科医のRyle (Justin Baldoni)と出会って、少し惹かれて、しばらくして再会したら彼はAllysaの弟であることがわかる。
Ryleと少し親密になってきた頃に、Lilyの高校生の頃の記憶が蘇り – なんの導入もなくいきなりそっちの時代に飛ぶ – Lily (Isabela Ferrer)は隣の廃屋でひとり寝泊まりしているらしいAtlas (Alex Neustaedter)を見て食べ物を置いてあげたり洗濯をさせてあげたり、通学バスで会話して、やがて自分の部屋にも入れるようになって、という過去の話と、父が母に暴行をしていた、という記憶が蘇り、どうしてそうなっていくのか、というと一緒になったRyleのやたらすぐに上半身裸になったり突発的に暴力が噴きだしたりするさまに、何かを感じたからなのだ、というのが見えてくるのだが、全体として彼はやさしいし、暴れたあとには特にやさしくしてくれるし、それ以外は申し分なさそうなので彼のプロポーズを受けいれてしまう。
でも、やっぱりそうやっていながらRyleのDVから逃げたくなった頃に、人気レストランのオーナーシェフになっていたAtlas (Brandon Sklenar)と再会し、Lilyの様子から何かを感じたAtlas – ずっと彼女を想っていたらしい - は彼女を守らねばって傍につこうとするのだが、Ryleは嫉妬からますます狂ったようになり、Lilyがもうこりゃあかん、となった頃に妊娠していることがわかり… “It Ends with Us” - それを言うのは誰なのか、”Us”とは誰と誰のことを指すのか… など。
あと、DVをやらかす男のやり口みたいなのが結構明らかにされていて、最初は君のことが忘れられないんだ… ってしつこく近づいて、いったん自分の手の内に落ちると、自分のことをもっと見ろ考えろ、って怒ったり暴れたりして、コトを起こして反省モードになると変わるから/変わった自分を見ておくれ、って懇願して、要は自分を見て構ってほしい欲求だけで世界を回してて相手のことなんてどうでもよいの。
犬も喰うのか喰わないのかの際どい昼メロ展開でありながら、人が出入りしたり入れ替わったりしていくのではなく、限られた登場人物と過去の記憶のなかでDVの恐ろしさと忌まわしさがゆっくりと立ちあがって人々の関係をぐさぐさと蝕んでいく、その見せ方は悪くなかったかも。 容赦も余裕も与えず、RyleとLilyの父について生きていようが死んでいようがあんたら絶対、決定的にだめでしょ、にしているし。
LilyのワードローブとかSATC並みにおしゃれで豪華で、花屋のオーナーになれるくらいなのでお金は十分にあるのだろうが、彼女のこの経済的余裕が可能にしている展開でもあるよね。 それがなかったらきつくて見ていられなかったかも、というのもあるし、でもこのシチュエーションなら自分には関係ない〜無理、になってしまう人もいるだろうし。
Blake Livelyはすばらしい。その気高さと強さと。
RIP Gena Rowlands..
ある程度覚悟はしていましたが、やはり残念で悲しい..
こないだBFIでUCLAで新たに焼いた“A Woman Under the Influence” (1974) - 『こわれゆく女』 のフィルム上映をやっていたの、行けばよかった..
2005年、BAMでJohn Cassavetesの回顧上映があった際、彼女とPeter Bogdanovichによるトークがあって – 『こわれゆく女』の上映の時で、この映画の公開時のプロモーションがめちゃくちゃで客も入らなくて、どうしようもなかったという話とか、資金繰りも適当すぎて見ていられなかったとか、そんな昔話をする彼女は本当に楽しそうで彼に会いたそうで、あっちで無事会えているとよいなあ、って。
ここには何度も書いているが、その時に語られていた 『こわれゆく女』の4時間バージョン、早く見つけて上映して。
ありがとうございました。
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