7月13日、Ambassadors Theatreで土曜日のマチネ―のを見ました。
2022年のEdinburgh fringeで評判となり英国各地をまわってきたコメディ・ミュージカルの再演。舞台の両袖の上の棚に各2、計4名のバンドがいる。原作はJon Brittain、共同演出は、Jon Brittain & FabianAloise、音楽はMatthew Floyd Jones。
ハルに暮らす殺人事件マニアのKathy (Bronté Barbé)とStella (Rebekah Hinds)は小学校の頃からの親友で、一緒に未解決事件の記録を読んだり集めたり犯人像を推理したり、大きくなってからは一緒にPodキャストをやったり、あまりぱっとしないけどふたりで楽しくやっている。
ある日、ふたりにとってはアイドルの犯罪マニアでセレブ作家のFelicia Taylor (Sorelle Marsh) - でも性格よくない - が町にツアーでやってきて、熱狂的なサイン会のあったその晩に殺害されてしまう。ふたりがずっと追ってきたハルの連続殺人鬼のと同じような手口で…
警察がやる気なしでてきとーに処理して幕引きしようとしているのを見たふたりは、ここはあたしらの出番ではないか! って遺体が置かれた病院とか鑑識とかにうまく取りいって独自に勝手に捜査を進めていくとー。
もしゃもしゃ髪にメガネのがり勉ふうKathyと、たぶんゴスをやりたいけど体型が - で中途半端にNirvanaのTシャツを着たりしているStellaのでこぼこの組合せがよくて、でもこのふたりがオタク的に籠ってなんかやりあっていくのかと思いきやその逆で、歌いあげるかんじの典型的なミュージカルナンバーをカラフルに歌ったり踊ったりしつつ – でも決して鮮やかに華やかに豹変するわけでもないところがよい - いろんな場面や人と会ったりして自分たちが勝手に招いた危機や落とし穴を、辛かった過去を振り返ったりしながら一緒に乗り越えていく。
やがてそれらしき犯人がいかにもなふうで逮捕されたりするのだが、当然それだけでは終わらないで、第二第三の事件が起こって彼らのPodキャストの評判も地に落ちて、ふたりの関係も危うくなったりしてー。
子供の頃、ひとりぼっちで病気がちのKathyを救ったのは「殺人」だったし、ふたりを結び付けたのも「殺人」に対する興味関心が一致していたからだし、ふたりを有名にしたのも「殺人」だし、でもひょっとしたらその流れのなかでFeliciaは殺されたのかもだし、でもとにかく「殺人」は数にしろ手口にしろ動機にしろ、多くの人々を惹きつけてエンタメのように消費する/されるものとして社会のなかで「機能」しているような - 人が殺されるってものすごく大変なことなのにー。 そういう「殺人」を巡る社会心理のありようを明るみに出すわけではなく(いや、少しはしているか)、事件の謎を推理して解決に導くこと(Solve a Murder!)が中心にあるわけでもなく、KathyとStellaの友情物語が真ん中にあるのは、それでよいのかしら? このストーリーに関しては脇役も含めてふたりを中心にうまく配置されていて - 現場のスターは最初に殺されちゃって - そのアンサンブルもよくもわるくも機能しているっぽいのでよいのか… なあ。 殺人なんて起こらない平和な社会なんて、彼女たちからすればありえない、ってことなの? とか。
でも日々のニュースでみる英国の殺人事件てほんと陰惨で怖いのばっかりの気がして、ああいうのに没入して熱狂できるのってやっぱり切り裂きジャックのお国だからだろうか。
7.23.2024
[theatre] Kathy & Stella Solve a Murder!
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