7月13日の晩、Curzon Aldgateで見ました。
監督は”Love, Simon” (2018) - ❤️ - を撮ったGreg Berlanti。
1960年代のアポロ計画のbehind the sceneもの、というと最近では”Hidden Figures” (2016)などがあり、なんか清々しいやつだったがこれもそうで暗くなくて、でもこっちは実話ではなくフィクションの恋愛もの。だけど戦争パイロットあがりの指揮官とか、フェイク映像作成を依頼される映画監督 - Stanley Kubrickは依頼されたそう - とか、実在のモデルがいないこともないそうな。
NYの広告業界でクライアントの男共をがっちり掴んでお金と共にディールの底に落っことす名人Kelly Jones (Scarlett Johansson)のところに大統領直轄の怪しげなWoody Harrelsonが寄ってきて、失敗が危ぶまれて各方面から評判のよろしくないアポロ計画 - 特に11号の月面着陸 - をパブリシティを駆使して成功にもっていってほしい、と依頼がくる。USAとしてはここで失敗して宇宙をソ連に持っていかれるわけにはいかないのだ、と。
彼女と助手のRuby (Anna Garcia)が現地に赴いて、技術統括のCole Davis (Channing Tatum)となんだあいつは? 割り込んでくんな! ってぶつかったり口論したりしながらもKellyたちは反対派の政治家を順に味方にしていったり、時計やシリアルの派手な広告キャンペーンを打ったり、上からの指令で着陸シーンを撮影すべく強引にカメラを搭載させたり、更には月面着陸が失敗した時に備えて差し替え用の着陸シーンを撮るべく極秘で映画監督(Jim Rash)とクルーとセット一式を揃えたり - こればかりはColeに言えるわけないことなのでごめんね、って思いつつ…
アポロ11号発射から月面着陸までがクライマックスであることは確かなのだが、ストーリーの肝は小競り合いしながら互いに惹かれていって止まらなくなるふたりにあって、政府からの依頼とはいえ、自分の目標達成のためにColeたちを好きに利用しまくってだんだん後ろめたくなっていくKellyと、1号の事故で犠牲者を出してから真剣に取り組んでいるとこに広告なんてどうでもいいのにこの娘らときたら… のColeが、互いに好きになっちゃったものをどうしてくれよう… っておかしくなっていく様が素敵ったらない。
Scarlett JohanssonもChanning Tatumも、こんなふうにどこかになにかが引っかかって手に負えなくなっていくときのやるせなさやりきれなさ、いやでもそれでも…. といった切なさが滲んでくる繊細な演技のできる人たちなのでたまんなくよいの。このふたりが横に並んでいるだけで、になる恋愛映画、最近そんなになかったかも。
彼らの仕事、ミッションは、優先順位は、ロケットを無事飛ばして飛行士たちを月面に立たせてマーキングして地球に帰ってこさせることにあるのに、USA万歳! なのに、そんなことよりまずわたしをこのいろんな縛りと重力から解いて月までふっとばしてくれないだろうかー、と。
発射直前になって搭載したカメラがうまく動作しないことがわかったり、予備のはずだったフェイクを成功失敗関係なく流す、と政府側が勝手に決定しちゃったり、どうなるどうする? のはらはらの連続も楽しくて、そこに基地周辺をうろついていた不吉な黒猫がやはり….
そして世紀の大仕事が片付いたらKellyはそこでさようなら、になるしかないのでー。
Aretha Franklinの”Moon River”とかSam CookeとかDinah Washingtonとか、流れてくる音もふんわかと月に飛ばしてくれそうなやつばかりの素敵なのばかりで。
次はメインでがんばる人達よりも、雑用とか使いっ走りばかりでひいこら走らされてばかりの若者たち - ”Hidden Figures”にもいたよね - を真ん中に据えたドラマをみたいかも。
7.21.2024
[film] Fly Me to the Moon (2024)
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