7.02.2024

[film] Fancy Dance (2023)

6月26日、水曜日の晩、Barbican Cinemaで見ました。
少しだけ懸念された80年代にあったお坊さん漫画とは、もちろんまったく関係ないのだった。

監督は自身がnative Americanでドキュメンタリーを中心に撮ってきたErica Tremblayのフィクション映画デビュー作となる。プロデュースには主演のLily Gladstone の他にForest Whitakerの名前があった。昨年のサンダンスでプレミアされて、SXSWでも上映されて、配信だとApple TVで見れるの?

季節は夏で、Jax (Lily Gladstone)と13歳の姪のRoki(Isabel DeRoy-Olson)が川で水浴びをしているシーンからで、ここで気持ちよさそうに水浴びをして布で体をぬぐうLily Gladstoneがまずはすばらしいったら。”Killers of the Flower Moon” (2023)にこのシーンがあったらなあ..

オクラホマの居留地に暮らす彼らは、Rokiの母でJaxの姉のTawiが行方不明になってから一緒に暮らしつつ、JaxはRokiの面倒をずっと見てきて、Rokiは万引きから自動車泥棒から生きていくために必要な一通りのことはできるくらいにはなっていて、Rokiは年に一度遠くで開かれるダンスのお祭りpowwow – かつて母娘で賞を独占したという - になればTawiがきっと姿を現すと信じている。

それはもう難しいかも、とわかっていながら警察が動いてくれないのでJaxはひとりTawiが働いていたストリップクラブなどへの聞きこみなどを続けていて、脅されたり危ない目に会ったりしながらも、彼女自身もドラッグ売買とかそれなりにそういう修羅場を抜けてきているので強くてめげない。なのだがJaxの実父のFrank (Shea Whigham)とJaxの母の死別後に彼と再婚した義母Nancy (Audrey Wasilewski) - どちらも白人のふたりがRokiの置かれた生活環境を懸念して、そのうちJaxもTawiと同じ目(そのうち失踪)に遭ってしまうのではないかと児童相談所に通報してからRokiはJaxから切り離されて隔離され...

Tawiが見つかればすべてが元に戻る、RokiはTawiがpowwowの会場に現れると強く思っている – であればJaxが取るべき行動は、軟禁されたRokiをかっさらってpowpowに連れていくしかないのか、と。ここから先は想像できる通り、叔母と姪のぶつかったり逸れたりのロードムービーになって、TawiとJaxをどこまでもまっすぐに信じるRokiと実父も含めて周囲の誰も信じられなくなっているけどRokiを守るのは自分しかいない、のJaxとのせめぎ合いがすばらしい。FrankとNancyが誘拐事件として通報したので各地に捜査網が敷かれて、彼らはどこまで逃げきれるのか…

ネイティブ・アメリカンの不審死や失踪は”Killers of the Flower Moon”にもあったし、”Wind River” (2017)にもあったし、どれも道端に棄てられてしまうだけのような救われない暗いかんじが残って、このお話しもその悲惨さ・重さは変わらないかも知れないが、受ける印象はそんなにまっくらでもないかも。やはりLily Gladstoneの揺れない落ち着きと頼もしさ、姪を見守るすばらしいまなざしと、その先で不安定に揺れまくる姪の手を引っ張っていく叔母の強さ、このふたりが手を取りあう絵から目を離せなくなる。

タイトルにあるダンス、はラストにくるのだが、それがどんなものになるのかは、見てほしい。

この人が出ているのだったらぜったい見て外れない自分の映画リストにLily Gladstoneさんは入っている。そのうちrom-comとかやってくれないかしら。

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