7月5日、金曜日の晩、CurzonのAldgateで見ました。
前の晩に続いてのR18映画で、ふつうこういう血みどろスラッシャーは見ない見れないのだが、これは予告がかっこよかったので大丈夫かも、と思って見た。そしてじっさいだいじょうぶだった。80年代B級カルトの風味たっぷり。
Ti West監督、Mia Goth主演による“X”シリーズの、X (2022)/未見 – “Pearl” (2023)/みた - に続く三番目となる最新作。Mia Gothがかっこよければよいやつで、実際とってもかっこいいから。
昔の家庭用モノクロフィルムで、オーディションごっこ(か本物のか)をやっている女の子 – Maxineの幼時の姿が映されてから、舞台は1985年のLAにとんで、映画のオーディションに現れたMaxine Minx (Mia Goth)はアダルトフィルム業界でのキャリアについて聞かれ、それが何か? って堂々と返してElizabeth Bender (Elizabeth Debicki)が監督する新作”The Puritan II”の役を得る。
その頃のLAでは”Night Stalker”と呼ばれる連続殺人鬼が話題になっていてきな臭いのだが、Maxineが前からやっている覗き部屋のバイトをしていると、それを覗く黒手袋の客がわなわなしていたり、彼女が出演していた昔のビデオが送られてきたり、いろいろ不吉で変なことが起こって、やがて一緒につるんでパーティに行っていた友人がひどい状態 – 頬に悪魔の刻印つき – の死体で発見されて、なんなのこれは? になって来た頃に見るからに怪しくてきな臭い私立探偵(Kevin Bacon)に付きまとわれるようになり…
LAのシーンは埃っぽいネオンで常に照らされて浮かびあがっていて、ダウンタウンも貸しビデオ屋もHollywoodの看板も80年代のかんじ(映画やPVに見られるあれ)に統一されていて、ZZ Topの”Gimme All Your Lovin'”から始まる80’sの音楽たちがそれらに反射して眩しくつっかかってきて、”Psycho”(1960)のBates Motelのセットには怪しい人影があり、そういう中で善いも悪いもどんなのもやばい目をしてうろついている。ぜんぶあやしい。
そのうち付きまとってくる私立探偵とMaxineの対決の時がきて、いいかげんにしろよなんなんだよベーコン野郎!(実際こいつなんなのかよくわからず) てかんじで焼きいれて潰して、その後、最後に現れたのは... ここも大変80年代っぽい - てきとーなやり口満載で、気がつけば束になっての銃撃戦でクイックにばたばた撃たれたりえぐられたりくりぬかれたりミンチになったり。隅々まで考えてなくて血なまぐさいばかりなのに、こんなところに感じてしまう親しみや清々しさってなんなのか。
全体を通じてやはり突出しているのはMaxine = Mia Gothの一貫してざっけんじゃねえよの不機嫌かつ不遜な顔と態度で、それを後ろから氷のようにクールなElizabeth Debicki - かつてのSharon Stoneのイメージかな – が支えていて、あの時代にかっこよかった女性たちの像が並ぶ映画のようにも見える。
ポルノ女優だろうが親がどうだろうがドラッグやってようがあんたには関係ないし、上っ面がすべてなんだ覚えとけぼけー、っていうのが80年代なのだが、ここまで正面から全開でやられるとたまんない。New Orderの”Shellshock”のイントロが鳴り始めたたとこで鳥肌がたったわ。
もう続編は”MaXXXXine”でいいし、Elizabeth Debickiになんかやらせてほしいし。劇中で作られていた”The Puritan II”を見せてくれるのでもいいかも。
7.12.2024
[film] MaXXXine (2024)
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