7.09.2024

[film] An American Werewolf in London (1981) +

7月3日、水曜日の晩のBFI Southbankは、まず”Griffin Dunne in conversation”というトークイベントがあり、その後に彼の名を有名にした”An American Werewolf in London”の上映があった。

”Griffin Dunne in conversation”

最近出版された彼の家族のメモワール本 – “The Friday Afternoon Club: A Family Memoir”の表紙は彼の家族写真(12人いて、やや合成っぽい)で、その中でまず目に留まるのは彼の叔父の妻であるJoan Didion - Griffin Dunne自身の監督によるドキュメンタリー - ”Joan Didion: The Center Will Not Hold” (2017)もある – の姿なのだが、恋人に殺されてしまった妹のDominique Dunneの死から始まるこの本 – まだぱらぱら程度 - を紹介する形でいろんなエピソードを語ってくれた。日本でも翻訳されないかしら。

“The Friday Afternoon Club”はDominiqueがLAの自宅のプールハウスで開いていた集まりで、彼の父はTina Brown時代のVanity Fair誌(問答無用)の花形記者だったし母はNatalie Woodの親友だったし、自宅で開かれるパーティにはハリウッドの映画関係者とか作家 - Billy Wilder, Truman Capote, Tennessee Williamsなどがふつうにうろうろしていたとか、NYのEast Villageで暮らし始めた頃にDebbie Reynoldsに頼まれてCarrie Fisherのとこに同居して面倒を見ていたとか、本にはもっといろいろ出てくるのかしら。

わたしが彼を知ったのは学生の頃、昨年リストア版が公開されていた”After Hours” (1985)なのだが、あの映画のキャラクターそのままにあちこち玉突きされてどつかれて憮然としつつも見るものは見て言うことは言うから、というドライな芯の強さみたいのはあるなー、とか。

彼が最初に監督した短編“Duke of Groove” (1995)の抜粋も上映されたのだがTobey MaguireもUma Thurmanもまだぴちぴちの子供で、その背後では誰が見たってAllen Ginsbergが踊っていたり、彼の家のパーティはだいたいあんなふうだったと。これ全編みたいな。

Joan Didionのドキュメンタリーを作った背景は、彼女を含む少人数で海に行ったときにカメラをまわしていたらそこに映っていた彼女がとてもリラックスしていて素敵だったので許可を得て少しずつ撮っていったのだそう。彼女がどんなにチャーミングに笑う人かを見てほしくて、とそのシーンの抜粋が流れる。ほんとに子供みたいにくすくす笑うの。


An American Werewolf in London (1981)

上映前にGriffin Dunneによるイントロがあった。これの前のトークではオーディションの時の様子が語られたが、それに加えて、公開当時の動員はいけてなくてさっぱりで、”National Lampoon's Animal House” (1978)のJohn Landisの新作としては評判もそんなでもなかったのだが、時間が経ったらカルトクラシックになっていた、など。 自分はこういうのはだめだったので、今回はじめて見る。

NYから来たふたりのバックパッカーがヨークシャーの原野に降りたち、パブに入ったけどあまりに不気味で不愛想なのでそこを出て、満月の下を歩いていったら道がなくなり、何かに囲まれている気配があって、走って逃げるのだがJack (Griffin Dunne)は毛むくじゃらに襲われて亡くなり、David (David Naughton)も襲われてあと少しのところで助かってロンドンの病院に送られて、大きな獣に襲われたというのだが誰にも信じて貰えず、でもゾンビと化したJackが現れて俺らを襲ったのは狼男だから満月の晩に気をつけろ、という。

退院した彼は看護婦のAlexのフラットに滞在して恋仲になるが満月の晩になると…

アメリカ人男がヨークシャーの狼男に噛まれてロンドンの町で大暴れする、というとってもシンプルな、それだけのお話しで、公開当時話題になったのはRick Bakerによる特殊メイクとその変身シーンだった気がするが、いま見るとやはりアナログで、それが – あんま恐くなくて - 腕の甲がぐおおーって伸びるとことか、なんかよいの。

あとは狼男/Davidがロンドンの町を彷徨っていくとこ - 動物園、トラファルガー広場、Tottenham Court Roadの地下鉄の駅、ピカデリーのポルノ映画館、狼男としてどんなふうに見えるのか、Davidとしてはどうか、あるいはゾンビとして擦り切れていくJackの目ではどうか? こんなふうにいろんな目線や視点がこんがらがってぐしゃぐしゃになって、ホラーとしての結末? とかそもそもなぜ狼男? とかどうでもよくなっていくのはJohn Landisだなあ、って。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。